スイス人監督ステファン・リートハウザーが、自身のアイデンティティに関わる葛藤を乗り越え、今に至る過程を語ったドキュメンタリー。家族のホームビデオの映像や写真と共に綴られていく。
「おばあちゃんは女神 唯一無二の人 僕は祖母のお気に入り…」マチズモ社会で女性差別を受けながらも実業家として生きた祖母と、父親から「男らしさ」を期待されて悩む「僕」。彼はゲイである自分をなかなか受け入れられなかった。それぞれ古いジェンダー観に苦しめられた２人。
それでも祖母は実業家として成功し、好きな詩や絵を楽しみ、ステファンは本当の自分と自由と、自分のやるべきことを見つける。
「月が降りてくるのを待っても 次は降りて来ない」
第11回 マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルに出品された作品とのことで、ステファンは父親の望みどおりの息子にはなれなかったかもしれないが、父が叶えられなかった「映画監督になる」という夢を果たしたのだなあと感慨深い。
