半兵衛

羽織の大将の半兵衛のレビュー・感想・評価

羽織の大将(1960年製作の映画)
3.7
落語をネタにした映画ではかなりレベルが高い部類の作品。ミュージシャンから俳優に転向したフランキー堺に落語家からタレントに転向する主人公を演じさせ、タレントへの転身に反対する彼の兄弟子に落語家からタレントに転向した桂小金治に演じさせるというシニカルな配役がナイスだし、フランキーは喋りもいける口なので落語家が板についていてドラマに説得力をもたらしている。

師匠役の加東大介がベテランらしい雰囲気を醸し出してさすが名優と唸らされるが、さすがに落語は出来ないのでそこは上手くカバーしている。そして批評家の安藤鶴夫に主人公を辛辣に批評する大学の恩師を演じさせるというキャスティングの妙!

六代目桂文楽をはじめ本物の落語家たちが多数登場しているのも見所、そして桂小金治の落語を見られるのが貴重で特に最初にフランキーに教える『さんぼう』を後半重要な場面でフランキーが語るという巧みな使い方にホロリとくる。

増長してしくじったフランキーにもたらされるビターな結末が彼に恋する団令子との結末も相まってほろ苦い余韻を残す。
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