とむ

ウォンカとチョコレート工場のはじまりのとむのレビュー・感想・評価

3.0
ティム・バートンって、
キュートだけどシニカルな世界観とか、
露悪的だけど愛嬌のある作劇とか、
そういうのホント上手かったんだなぁというのを実感させられた。
それくらい本作は、所謂「毒にも薬にもならない」映画だった。
チョコレートだけにね。上手い!
チョコレートだけにね。旨い!

言わずと知れたみんな大好きティモシー・シャラメは好演だったし、彼をみるための映画と割り切れば納得はできるかもしれないけど「アニー」観てんじゃないんだからさーっていう内容なんですよね。
ファンタジー世界観に対する面白味とかがあんまりないんですよ。
こんだけ華やかで魅力的な映像なのに、物語的に惹かれる要素が全然無い。
ウィリー・ウォンカの魔術よろしく、まるで「まやかし」みたいな物語。

登場人物たちも職業とか立場とか、
ほんとに字面上の「役割」異常に発展しないから、最後の「みんなの特技を活かしてリベンジだ!」的な展開も都合よくことが運んでる様にしか見えなくてイマイチ納得しづらい。

第一、ウォンカの商売が失敗したことはその実情を知ってる観客はそれが謀略であることがわかってるけど、
第三者からしたらチョコレート組合の連中が中抜きしていたこととウォンカの件については直結しないと思うんですよね。

全体的に都合重視で物語的な説得力を欠いている印象でした。
ファンタジーなんだからそこはそれなりで良いと言われたらそれまでですが…


ただ、ラスト母の隠し味の真相に辿り着いたウォンカ(シャラメ)が見せるあの表情には思わずグッと来てしまいました。
役者、というか主演で持ってる映画だな〜という印象の映画でした。
チャーリーとチョコレート工場観た方が面白いと思う。
とむ

とむ