コマミー

ウォンカとチョコレート工場のはじまりのコマミーのレビュー・感想・評価

3.8
【母が遺したチョコレートの魔法】



[こんなクリスマス映画を観た2023🎄④]





"ロアルド・ダール"の代表作として世界中にも広く認知されてる「チョコレート工場の秘密」。これまで1917年にジーン・ワイルダー主演で映画化し、2005年に皆さんご存知のティム・バートンによって映画化されたものがある。

そして本作。本作は"ウィーリー・ウォンカ"の"若き頃"を描き、"夢を見る事を禁じられた街"で人々に夢のようなチョコレートを広め、"チョコレート工場を創設するまで"の物語となっている。原作は確かに「チョコレート工場の秘密」なのだが、本作に関しては"完全オリジナルストーリー"である。しかしながら、どちらかと言うと本作の予習として、ティム・バートン版を鑑賞するのではなく、ジーン・ワイルダーが主演を務めた1971年版を鑑賞しておくと本作の要素が掴めるかもしれない。

まず本作が今までの映画化同様、"貧富の差"を描いている所が良かった。勿論、今までの映画ではウォンカはどちらかと言うと富裕層の立ち位置にあったのだが、今回はウォンカも貧乏な立ち位置にある。ウォンカが"インチキな宿"に騙されて、"地下の洗濯場"で強制労働させられた時、本作のもう1人の主人公である少女"ヌードル"と"4人の他の労働者達"と出会い、チョコレートを通じて貧しい生活から脱却するのが本作のメインだ。街には"チョコレート工場3社の社長"が手を組み、「チョコレート組合」なるものを組んで街自体を牛耳っていたのだが、これにチョコレートと共にウォンカがこの街の人々に"夢を見る事を取り戻そう"とするドラマも描かれており、とても素敵な物語となっていた。

素敵と言えば、本作は"母親の存在"が決めてとなっている。ウォンカが街や世界中に広めたいチョコレートの味がまさに「母の味」だったなんて健気すぎて可愛かった。他にも、母の存在が決め手のキャラがいるのだが、それは本作を実際に見てほしいし泣けるのでとにかく見てもらいたい。そんなウォンカの母親を"サリー・ホーキンス"が演じるなんて、余計ホカホカするじゃん。

そして本作は、私の大好きな"2人のコメディ俳優"の演技もとても良かった。それは"マット・ルーカス"と"ローワン・アトキンソン"。マットはチョコレート組合に与する悪徳社長の1人、ローワン・アトキンソンは組合に協力する悪徳神父さん。どちらも非常に個性的な悪役を演じていて嬉しかった。ローワンはちょっとやはりMr.ビーンを思わせてたけど…。

"ヒュー・グラント"演じる"ウンパルンパ"がセクシーすぎてヤバかった。ルックスは1971年版の原作の姿に限りなく近いウンパルンパなのだが、中身は少し獰猛ながらも口調は紳士的なウンパルンパだった。歌を歌ってる時の姿が可愛い。

ミュージカル部分や意外に特に驚きが溢れるシーンは少なく、限りなく子供向けの仕上がりとなったのだが、これはこの時期、大切な家族と一緒に見るとなお、その良さは上がるのかなと感じた。シンプルにティモシー目当てで見るのも良いかもしれない。「推し活にもどうぞ」な映画だ。

少なくとも、劇場で見る価値は充分にあると感じます。
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