てっぺい

ウォンカとチョコレート工場のはじまりのてっぺいのレビュー・感想・評価

4.0
【残る映画】
歌にダンスに、チョコが宙を舞えば人々も空を飛ぶ。魔法の世界はメルヘンに溢れ、見終わると多幸感が残る。注目キャラのテーマソングは劇場を出ても脳内に延々と残る。こんな作品こそ、映画史に延々と残る。

◆トリビア
○ウォンカを演じたティモシー・シャラメは、撮影が始まる3カ月前からダンスと歌を猛特訓。人喰いの役を撮り終えた直後での振り幅に、脳内が突然ハリウッド色に染まったと感じたという。(https://www.vogue.co.jp/article/wonka-chocolate-timothee-chalamet-hugh-grant-interview)
〇最終的にカットされたが、ティモシー・シャラメが歌いながら無意識に涙を流し、しかも音楽のビートに合わせて涙を落としたシーンがあった。監督が彼の才能に驚いた瞬間だったという。(https://safarilounge.jp/online/culture/detail.php?id=14756&p=2)
〇監督は「ウォンカが「ピュア・イマジネーション」を歌うシーンで、ティモシーの歌声に僕のハートが溶けたんです(笑)。本当に素敵でした」と彼の歌声を絶賛。(https://screenonline.jp/_ct/17671891)
○ヒュー・グラントの姿をウンパルンパに加工するため、撮影の第一段階は、彼の全裸を3Dスキャンする事だった。(https://eiga.com/news/20231030/8/)
○ ヒュー・グラントは、無感情で子ども嫌いなウンパルンパの個性を表現しつつ、子どもたちが震え上がらない程度に抑えるよう役作り。完成作の予告編に大人たちの怖がるコメントが多かったことが予想外だったという。(https://www.vogue.co.jp/article/wonka-chocolate-timothee-chalamet-hugh-grant-interview)
〇ウンパルンパはヒュー・グラントの動きをモーション・キャプチャーで合成。ただし別室の同じ空間のセットにおり、お互いの声を聞き、その姿を見たりしながら演技をしたという。ヒューのような俳優はアドリブを入れてくるので、共演者はその場で反応した方がいいと監督はその利点について語った。(https://safarilounge.jp/online/culture/detail.php?id=14756&p=3)
〇ヒュー・グラントは今でも「ウンパルンパの歌」を毎日歌ってしまうし、いまだに頭の中であの歌が聞こえるという。5人の子どもたちもみんな歌うそう笑。(https://www.oricon.co.jp/special/65892/2/)
〇本作に登場する赤いカップや立ち上がる杖は、初期作「夢のチョコレート工場」('71)へのオマージュ。(https://eiga.com/news/20231030/8/)
〇監督は「夢のチョコレート工場」('71)の”姉妹編”を製作するイメージで、同作に使用された「Pure Imagination」と「ウンパルンパのテーマ」の一部を本作でも使用した。(https://eiga.com/news/20230713/16/)
〇ウンパルンパのビジュアル、ウォンカが聴衆に向けて言った”Quiet up, Listen down“のセリフ、ウォンカ製のチョコを食べた人が宙に浮くシーンも「夢のチョコレート工場」('71)のオマージュ。(https://permioh.com/2023/07/16/ウンパルンパが戻ってきた-『ウォンカとチョコレ/)
〇ロンドン郊外にある撮影所にチョコレートの街を作って撮影。4軒のチョコレート店と教会が建っていて、正気かと思うほどスケールの大きなセットだったとティモシー・シャラメは語る。(https://www.oricon.co.jp/special/65892/)
○劇中のチョコレートは本職のショコラティエが製作。一つ作るのに4時間かかるホバーチョコを900個も作り上げたという。ウィリーがチョコレートショップを開店し、ヌードルとティーカップで乾杯するシーンでは、「夢のチョコレート工場」('71)の食べられるティーカップを監督が現場で要望。ショコラティエが1時間で作り上げた事に監督は驚いたという。(https://screenonline.jp/_ct/17671891/p3)
〇ポール監督の代表作「パディントン2」の撮影最終日に、同作と本作のプロデューサーが「ウォンカの若い時代で映画を作る」と打診。原作のクレイジーな楽しさと、ダークな部分は監督が『パディントン」でやろうとしたことであり、同じ志向だと感じて、監督を引き受けたという。(https://safarilounge.jp/online/culture/detail.php?id=14756&p=1)
〇監督曰く、本作には新たな物語を考える余地は残してあるので、誰かが「もう1作」と望めば続編の可能性があるという。(https://safarilounge.jp/online/culture/detail.php?id=14756&p=3)
〇ウォンカを演じたティモシー・シャラメは、ボブ・ディランの新作伝記映画でボブ・ディラン役を務めることが決まっている。(https://eiga.com/movie/96536/special/2/)

◆概要
【原作】
ロアルド・ダール「チョコレート工場の秘密」('64)(本作は原作をもとにしたオリジナルストーリー)
【製作】
「ハリー・ポッター」シリーズ デビッド・ハイマン
【脚本】
ポール・キング、サイモン・ファーナビー(動物園の守衛役で作品にも出演)
【監督】
「パディントン」シリーズ ポール・キング
【出演】
「君の名前で僕を呼んで」ティモシー・シャラメ
「ラブ・アクチュアリー」ヒュー・グラント
「シェイプ・オブ・ウォーター」サリー・ホーキンス
「女王陛下のお気に入り」オリビア・コールマン
「Mr.ビーン」ローワン・アトキンソン
【公開】2023年12月8日
【上映時間】116分

◆ストーリー
純粋な心ときらめくイマジネーションを持ち、人びとを幸せにする「魔法のチョコレート」を作り出すチョコ職人のウィリー・ウォンカは、亡き母と約束した世界一のチョコレート店を開くという夢をかなえるため、一流のチョコ職人が集まるチョコレートの町へやってくる。ウォンカのチョコレートはまたたく間に評判となるが、町を牛耳る「チョコレート組合」からは、その才能を妬まれ目をつけられてしまう。さらに、とある因縁からウォンカを付け狙うウンパルンパというオレンジ色の小さな紳士も現れ、事態はますます面倒なことに。それでもウォンカは、町にチョコレート店を開くため奮闘する。


◆以下ネタバレ


◆多幸感
見終わってまず感じるのはコレ。歌にダンスに、チョコが舞い人々も空を飛ぶ。「メリー・ポピンズ」('64)のように風船で空を舞うウォンカとヌードルのシーンはまるで夢見心地。“僕らだけの世界”とウォンカが歌いながらお店に魔法のチョコが溢れるシーンも最高。あまり深く考えずに見れる、次々とメルヘンの世界が展開していく可愛らしい世界観がいい。“貧乏”にゲロるチョコレート組合に、ダブル“Huh”のブリティッシュジョークにクス笑い。船の爆発やチョコで溺死しかける「キングスマン」にも通ずるブリティッシュなダークさに時折意表をつかれたが、映画全体に散りばめられた幸せの描写に、見ているこちらに多幸感が溢れる感覚だった。

◆ウンパルンパ
05年版よりも71年版よりも、一番スタイリッシュでよく喋る本作のウンパルンパ。ヒュー・グラントの5人の子供たちが毎日歌うというウンパルンパのテーマは、なるほど劇場を出ても延々と脳内でリフレイン笑(「ウンパ ルンパ ドゥカティ ティ」の後にくる合いの手の楽器音がいい笑)。ウォンカに取らせたフライパンでウォンカをブン殴るコント笑、島流しの船にスーツケースで登場してしまうあの独特の存在感(ウォンカのダブル“Huh”にいちいちウンパルンパが反応するあのくだりが最高笑)、溺死寸前のウォンカとヌードルを救ってしまうヒーロー感すら加わって、もはや主役を食う勢い。過去作のどのウンパルンパよりも笑わせてもらったし、前述の多幸感にも大いに貢献する活躍ぶりだった。

◆ラスト
ウォンカがずっと願い続けた、母の面影、そして“秘密”のメッセージが明かされるシーンにホロリ。“一番大切なのは分かち合う事”と、6ブロックのチョコを仲間と分けたあのシーンが何よりの本作のメッセージ。6人で協力してウォンカの夢を実現し、ヌードルのピンチには全員で駆けつけ、ウォンカもそんな仲間を思い、チョコレート組合の取引に応じて仲間を解放。各々の能力を活かした結果、ヌードルにもハッピーエンドがおとずれる。チームの幸せなその後が描かれるエンドロールも素敵だった(ここでもウンパルンパが活躍笑)。本作全体を通じてウォンカは孤独ではなく、仲間と共に目的を成し遂げる、そこが過去作と大きく違う点だった。ウォンカが空き家をみるみるうちに“あの”工場にしていくラストは最高のワクワク感。ウンパルンパと硬い握手を交わすシーンが、05年版と71年版のはじまりへと繋がる素晴らしい演出だった。今とんでもなくチョコレートを食べたい笑。

◆関連作品
○「チャーリーとチョコレート工場」('05)
本作はこの作品に登場した工場長ウィリー・ウォンカの始まりの物語を描く。プライムビデオ配信中。
〇「夢のチョコレート工場」('71)
ウォンカをジーン・ワイルダーが演じる。ポール監督によると、ワイルダーが演じるウォンカと、本作のウォンカの間の整合性を大切にしたとのこと。プライムビデオレンタル可。
〇「君の名前で僕を呼んで」('17)
ティモシー・シャラメの代表作。今作でアカデミー賞主演男優賞に歴代3位の若さでノミネート。ラストの彼の表情が印象的。Netflix配信中。

◆評価(2023年12月8日時点)
Filmarks:★×4.1
Yahoo!検索:★×3.6
映画.com:★×5.0

引用元
https://eiga.com/movie/96536/
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ウォンカとチョコレート工場のはじまり
てっぺい

てっぺい