ノラネコの呑んで観るシネマ

ウォンカとチョコレート工場のはじまりのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.5
ロアルド・ダールの「チョコレート工場の秘密」の、ウォンカの若き日を描く前日譚。
ただしバートン版「チャーリーとチョコレート工場」とはキャラクター設定が大きく異なっており、あくまでも原作の前日譚。
本作のウォンカはずっとチョコレート作りだけに情熱を注いできた文盲の青年で、それ故に自分の店を作るためにやって来た街で、人に騙され酷い目に遭う。
孤独な主人公が擬似家族を得て起死回生を目指すのは、パディントンにも通じる作り。
格差社会が背景となっているのも同様の文脈だが、こちらはあくまでも背景要素で、社会性はさほど前面には出てこない。
その分、ワクワクする美術とミュージカルナンバーが素晴らしく、何気に脇を固めるキャストがやたらと豪華だ。
英国映画らしいシニカルでウィットに富んだユーモアが、甘ったるいだけのファンタジーではなく、大人の鑑賞に耐えるビターテイストを加えている。
宣伝がバートン版との繋がりで売ってたので、「お父さんどこいった?」と思う人も多いだろうが、これはこれでとても面白い、よく出来たファミリームービー。
ウンパルンパがエンドクレジットまで楽しませてくれるよ。