Mariko

ウォンカとチョコレート工場のはじまりのMarikoのレビュー・感想・評価

4.4
まず、これは完全にPRにしてやられた人が多いと思うんだけど、2005の映画『チャーリーとチョコレート工場』の前日譚ではない。いったんロアルド・ダールの原作に戻って、新たなストーリーを作ったというのが適切。’71の映画『チョコレート工場の秘密』(これは観てない)の前日譚というならまだ近いらしい。
ただ、配給側はウソはついてない。「あの名作『チャーリーとチョコレート工場』のはじまりの物語」とは言ってるけど、あのティム・バートンの名作、とは公式トレイラーやサイトではひとことも言ってなくて、原作も同タイトルだからね。とはいえ、その先の各紹介サイトは「ティム・バートンの」や「ジョニー・デップが演じた」という枕詞をふんだんに使ってるし(観る人が勝手に)そう思い込むであろうことを見越して作られてることも間違いない。
予告の映像観た時からほぼ確信してたけどね。だって、ジョニデのウィリーはあんな風に溌剌とした声とまっすぐな瞳で “My name is Willy Wonka!”って名乗りをあげたり絶対にしないもの笑。
だから、あの頃のティム・バートンのダークでポップな世界と地続きのテイストを期待すると、相当な肩透かしを食らうことになる。

私はあの捻じ曲がったウォンカがとても好きだけど、それとはまったく別のウィリー・”ティモシー”・ウォンカがトレイラーでくるくる回ってふわっと着地するのを観た瞬間から愛おしくてたまらなかったので、それを心ゆくまで満喫できた今作には大満足。大好きなメアリー・ポピンズが傘さして空から舞い降りてきたのを思い出させてくれた瞬間に大泣きしてた。
何よりこのgood old fashioned という形容が思わず脳裏をよぎるミュージカル、21世期にこの捻りのなさ(最上級に褒めてる)でここまで魅力的に見せてくれるのが感涙モノ。まあ、それもティモシー・シャラメという、とても地球上の生物とは思えないようなキラっキラした生きものの為せる業と言ってしまえばそれまでなんだろうけど。だっておかしいでしょ、普通の人間が着たら汚かったり野暮ったかったりオマエ誰?と思われたりするような衣装で歌ったり踊ったりしても「似合うな〜」と思えちゃうって笑。

ミュージカル作品として見たら、楽曲の力はかなり弱い。でも、それくらいでちょうど良いのかも(個人的見解)。さすがに脚本はもうちょっと頑張って欲しかったかな、と思わなくはないけれど、そういう作品じゃないんでしょう。

しかしヘンだなあ、そもそもティモシー・シャラメ、全然ファンじゃなかった(男性のタイプとして全く好みではない、それは今でも)はずなんだけど、知らないうちにここFilmarksで「友の会」みたいなのにまで入ってたらしい(笑)し、もう流石に大ファンであることを自認しよう💕
Mariko

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