あーや

あいつと私のあーやのネタバレレビュー・内容・結末

あいつと私(1961年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

あいつはあいつ俺は俺ー♪俺とあいつは友達さ♪だけど互いに秘密もあるーさーヤァッ♪ヒップヒップヒップラーヒップヒップヒップラー♪
それでも地球は回ってるー♪おへそは未来を指しているっ♪ヒップヒップヒップラー♪
映画館で見るのは3回目かな。家では何度も家族と一緒にDVDで見てきたのですが、今更ながら知った事実。上記の名曲「あいつと私」は谷川俊太郎の詩でした。この曲も彼やったんか・・・・。ついこの間「出世ができる」で骨抜きにされたばかりなのに。私、すっかり谷川俊太郎の詩の虜です。恐れ入りました。
さて「あいつと私」は中平康監督作品の中でも群を抜いて大好きな作品なのです!もちろん「月曜日のユカ」「狂った果実」「牛乳屋フランキー」「混血児リカ シリーズ」・・・どれもこれも好きなのですが、中平康らしさを味わいたい時には「あいつと私」が1番です。
全編中平康監督らしくテンポが凄まじく早い。セリフも物語の展開も高速で進んでゆく!
大学生達の青春群像映画なのですが
、性への関心が強すぎるためか「セックス」やら「生理」やら挙句「spoil」まで、かなり露骨なぶっ飛び性的ワードが次から次へと発されます。
石原裕次郎演じる黒川くんには、かつてお母さんに依頼された性処理役のお姉さんがいたことにまず驚きましたが、続いて彼の出生の秘密にも仰天です。ただその晴れない苛立ちを実の父親との腕相撲勝負で解消したところがカラッとしていて気持ちいい。
また安保理反対の学生運動もエキストラを千人単位で集めて撮っているため、とてもダイナミックなデモシーンにも圧倒されます。
笑いのツボは学生達や芦川いづみの家族たちとの会話の随所でしっかりと抑えているのですが終始ヌケ感満載のコメディという訳では無く、力を込めて見入ってしまうシーンや、はたまた一気に力が抜けるシーンもあるんですねー。その緩急の差がお見事ですね。魅せてくれます。
雨の中、裕次郎が芦川いづみを木に押し付けて無理やりキスをする名シーン。あれは媚上手な優男のロマンチックなキスなのではなくて、本能で生きる男の衝動的なキス。
そして翌朝、女友達にキスのことを思い出しながら事細かに話して「きゃー」って照れちゃう芦川いづみがもう!かわいいっ!
芦川いづみはもちろんラブリーなのですが、妹役で出ている吉永小百合嬢も美しいです。芦川いづみのお友達役には吉行和子、裕次郎のお友達役では小沢昭一も出ていますよ。川島雄三監督作品に出てくるキャラクターたちほどマヌケな小沢昭一ではないのですが、彼がスクリーンに出てくるだけでくすっと笑えますね。

とりあえず劇場を出る頃には「あいつはあいつー♪俺は俺ー♪」とつい口ずさむこと間違いなし!いつ観ても新鮮でパワフルな色褪せない名作です。
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