【凄惨な9分間】73点
ーーーーーーーーーーー
監督:ギャスパー・ノエ
製作国:フランス
ジャンル:犯罪
収録時間:90分
ーーーーーーーーーーー
胸糞悪い映画は好物ですが、これを好物というと人間性を疑われますので注意笑 以前から耳にしていた作品ですが、再編集版が配信されたのでむしろこちらから見てみることに。なんと、オリジナルは逆再生で見せてきたのですが、今作はそれを時系列通りに、いわば普通の映画として編集したものだそうです。なるほど、某映画と同じ手法ですが、敢えてこちらから見てその後オリジナルを見ることにしました。
この編集版の良いところは、ストーリーに集中できるところではないでしょうか。何を当たり前のことを、と思うかもしれませんが、この内容の作品を逆再生にする必然性をあまり感じられませんでしたので、むしろ登場人物達の心境や行動に注目できてよかったです。ここで、あれはあれでこうはこうで、と考えるとあまり集中できないと思います。
さて今作はどんな話かというと、2人のカップルと友人がパーティーに参加して、女性(これがアレックス)が先に帰ろうとした時に地下道で理不尽なレイプにあってしまい、それを知った彼氏が復讐心にとらわれるというもの。特に中盤の9分にわたるレイプシーンは凄惨なものでありまして、当初も映画館で退出者が続出、非難がたくさん出たとのこと。確かにこれを映画館で見るとなると相当な覚悟が必要でしょう。まあ本当に海外の夜の地下道なんて、襲われるかどうかの瀬戸際の空間でしょうから、あんな姿で1人で歩けば、襲ってくださいと言っているみたいなものでしょう。昨今日本でも考えられないような事件が起きていますが、それでも日本はだいぶ治安が良い方です。最近の某YouTuberの強盗事件も然り、海外において人気の少ない夜道を1人で歩くのはほぼ自殺行為に等しいです。さすがに作中の行為は常軌を逸していますが、残念ながら現実世界でもありうることなのだろうと思います。ところで一瞬レイプシーンの後ろで人影が見えるのですが、その人影は助けることはせず逃げていくのです。まあこれはもし自分がその立場ならそうするかもしれませんね。臆病者となってしまいますが、あの凄惨な中自分から危険を冒してまで立ち向かっていく人間はどれくらいいるのか。場所も逃げ場はなしといった空間なのでもしものことがあったらどうもできない。わざとああいう人影を置くことにより、我々に考えを促しているようにみえますね。
そこからアレックスは暴行も受けてしまい昏睡状態となるのですが、それを知った彼氏のマルキュスは友人のピエールと犯人探しをしていきます。このあたりも狂っていて緊張感があり非常に見応えがあります。それにしてもレクタムというバー、やばすぎでしょ。あんな危険な店が現実世界でどれくらいあるのか。。性行為も暴力もお構いなしの作品でして、これは中々倫理的にも厳しいと言えるでしょう。イメージはできるのですが、この後オリジナル版も早送りでですが見てみました。その感想はそちらの方でしたいと思います。
なんというか、フィクションだからもちろんお咎めなしなのですが、こんな内容を企画した人々の人間性を思わず疑ってしまいたくなりますよね。。でもそれを見てある種の満足を得ている鑑賞者も然りですね。。
