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闇はささやくのどのネタバレレビュー・内容・結末

闇はささやく(2021年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

あらすじとタイトルから妻が新居に取り憑いている地縛霊にでも惑わされて夫を惨殺するなど、そういった類の猟奇的な結末に落ち着くのかと思っていたのだが、もっと内面的な話だった。
序盤のパーティーで妻に吐き癖がある描写からすでにこの夫婦は何かしらうまくいってないことが察せられ、夫と他人との会話の中のちょっとした発言などから裏の顔が暴かれるところまで、流れるように自然に描かれていたのがなんだか印象的だった。
スウェーデンボルグや絵画史を知っていれば、もう少し深いところまで理解できたのかもしれないが、それでも似たような分野について学んだことはあったおかげかなんとか話にはついていけた。
夫の数々の悪行が暴かれ、主人公である妻も惨殺されたのだから、当然それ相応の報いを受けて終わってほしかったという思いはあったものの、「善は必ず勝つ。現世で負けても来世では勝つわ」という劇中のセリフのとおり、妻は死してもその次の人が悪を裁くという結末は、新居にまつわる忌まわしい過去を丁寧に昇華させていったように感じた。また終盤の「地獄落ち。……私たちは霊となった おかげで力を手に入れた 小さな滴が集まり 果てしない海となるように」というセリフも非常に印象的で、殺害されたことを悔いるのではなく、次の段階を見据えているのが個人的には新鮮だった。
全体的になかなか満足したが、あれほどの悪行を見せつけられたからには、内面的な描写に留まらず、夫が現実で懲罰を受ける場面も観たかったとも思ってしまった。
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