メイマーツインズ

とんびのメイマーツインズのレビュー・感想・評価

とんび(2022年製作の映画)
4.1
《父のめいっぱいの愛と、皆の暖かい手で、僕は大人になった》

阿部寛主演で父子愛を描いたハートフル物語。
Amazonプライムにて。



少年時代が昭和だったこともあり、毎年夏になると昭和を感じたくなる。
本作は細かい時代再現が秀逸で、ノスタルジックな昭和を観る者に感じさせる。
人間関係が希薄になった、今のギスギスした欧米感覚の個人主義社会には時折疲れる…
昭和には日本の良さ、人の暖かさがあった。

自分は父知らずで、幼少期は母子家庭で育った。そして継父ができ、弟が生まれた。
今は3人の子どもたちに恵まれ、親の立場も理解できるようになった。
片親で育てるのが、どれだけ大変なことか…
そんな自分だから、この物語はどうしても深く感情移入してしまう。

妻を亡くし、子育ての壁に父親がぶつかる。父親の苦悩する姿に、見るに見かねたお寺の和尚が父子を海に連れ出し説法するシーンに胸が詰まる…
自分を育てるのに、どれだけの人々が愛情を注いでくれたのだろう…
そんなことが頭をよぎる。

阿部寛の熱演が胸を打つ、昭和の父子物語。
昭和の人の暖かさに触れることができる、そんな逸品です。