るるびっち

ピノキオのるるびっちのレビュー・感想・評価

ピノキオ(2022年製作の映画)
3.4
ロバの耳が生えたピノキオのように、どっちつかずの作品。
ロバなのか人形なのか。
最近のディズニーは王子に頼らない女性像など、古典を塗り替えて新しい挑戦をしている。
だが本作は、挑戦か古典かどっちつかず。

黒人の妖精など、ポリコレ配慮が過ぎると批判がある。
それより問題なのは、ピノキオが体現している幼児教育だろう。
昔の幼児教育の洗脳は歪んでいて酷い。
そっちを全面的に変えた方が良い。
優しく素直で勇敢な子どもに育つようにと強制している。
そうでないと罰が与えられる懲罰形式なのだ。
今時、中国でもそんな教育しないのでは?
そこは全然直さないんだ。

まず妖精が呪いをかける。
「良い子になれば人間になれる」
ピノキオは一生懸命良い子になろうとするが、差別教師が学校から締め出す。
そもそもゼペット爺さんは、学校と話をつけていないのか?
飛び込み営業みたいに、いきなり学校に行っても受け入れて貰えるハズないだろう。

ピノキオは良い子であろうとするが、その気持ちを利用して狐と猫が騙す。
サーカスに売られ、逃げ出すと堕落の町に連れていかれる。
ピノキオは何も悪くない。不可抗力だ。
それなのに嘘つきとして鼻が伸びる罰や、遊び過ぎて堕落したとロバ化するのだ。
ピノキオに罪はないのに罰を与える。
良心が弱いせい。嘘や堕落の気持ちを持つのが悪いと責め立てる。
被害者を責める、セカンドレイプまがいの歪んだ教育思想だ。
堕落するものを大人が発明していながら、それに熱中する子供を厳しく罰するのは責任転嫁ではないか。
自分達がそれらを排除できないのに、子供はやっちゃダメ。
やったら、鼻が伸びたりロバになるよと脅す。
そんな身勝手な大人を懲らしめる復讐映画にした方が良い。

「良い子でいれば人間になれる」と、呪いをかけた妖精。
人形だからと差別して、教育の門を閉ざした教師。
手配もせずに飛び込み営業させたゼペット。
これらに対して、ロバの被り物をしたジェイソン・ピノキオが血祭りに上げていく。
胸のすく傑作になるだろう。
それ位、革新的な新作を作って欲しい。やれるよディズニー!!
ブランドイメージの改革だ!!!
昔の歪んだ教育方針で作られた物語を、スラッシュしていくのだ。

無理に頑張らなくても、今のままで良いんだよ。
誰もが言われたいことを告げられ、人形のままで終わろうとした。
そこは革新的なのに、批判を恐れ曖昧にした。
制作人に勇気がない。
革新に振り切って、人形のまま終わる方が新しいメッセージで良かったのに。
結局、昔のままのセカンドレイプ作品で終わった。

人間になるために一生懸命努力して中々報われないピノキオって、出世しようと自己啓発沼にハマる大人と同じじゃないか?

自己啓発本を読破したり、セミナーに通う連中はピノキオだ。
成功しようと頑張るが、金だけ損して堕落に陥る。
しかしそれはセミナーや本が悪いのではなく、お前自身の努力が足りない、上昇志向が足りないと責め立てられる。
ダメ人間というロバになるぞと脅される。
特に素直な日本人は、自己啓発中毒に陥っている。
どこの会社にも、ピノキオは溢れている。
さあ、ロバの仮面を被って今こそセミナーに殴りこもう。
勿論、チェーンソーを持って。
今必要な教育物語は「ピノキオ」ではなく「チェンソーマン」だ!!
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