ロバの耳が生えたピノキオのように、どっちつかずの作品。
ロバなのか人形なのか。
最近のディズニーは王子に頼らない女性像など、古典を塗り替えて新しい挑戦をしている。
だが本作は、挑戦か古典かどっちつかず。
黒人の妖精など、ポリコレ配慮が過ぎると批判がある。
それより問題なのは、ピノキオが体現している幼児教育だろう。
昔の幼児教育の洗脳は歪んでいて酷い。
そっちを全面的に変えた方が良い。
優しく素直で勇敢な子どもに育つようにと強制している。
そうでないと罰が与えられる懲罰形式なのだ。
今時、中国でもそんな教育しないのでは?
そこは全然直さないんだ。
まず妖精が呪いをかける。
「良い子になれば人間になれる」
ピノキオは一生懸命良い子になろうとするが、差別教師が学校から締め出す。
そもそもゼペット爺さんは、学校と話をつけていないのか?
飛び込み営業みたいに、いきなり学校に行っても受け入れて貰えるハズないだろう。
ピノキオは良い子であろうとするが、その気持ちを利用して狐と猫が騙す。
サーカスに売られ、逃げ出すと堕落の町に連れていかれる。
ピノキオは何も悪くない。不可抗力だ。
それなのに嘘つきとして鼻が伸びる罰や、遊び過ぎて堕落したとロバ化するのだ。
ピノキオに罪はないのに罰を与える。
良心が弱いせい。嘘や堕落の気持ちを持つのが悪いと責め立てる。
被害者を責める、セカンドレイプまがいの歪んだ教育思想だ。
堕落するものを大人が発明していながら、それに熱中する子供を厳しく罰するのは責任転嫁ではないか。
自分達がそれらを排除できないのに、子供はやっちゃダメ。
やったら、鼻が伸びたりロバになるよと脅す。
そんな身勝手な大人を懲らしめる復讐映画にした方が良い。
「良い子でいれば人間になれる」と、呪いをかけた妖精。
人形だからと差別して、教育の門を閉ざした教師。
手配もせずに飛び込み営業させたゼペット。
これらに対して、ロバの被り物をしたジェイソン・ピノキオが血祭りに上げていく。
胸のすく傑作になるだろう。
それ位、革新的な新作を作って欲しい。やれるよディズニー!!
ブランドイメージの改革だ!!!
昔の歪んだ教育方針で作られた物語を、スラッシュしていくのだ。
無理に頑張らなくても、今のままで良いんだよ。
誰もが言われたいことを告げられ、人形のままで終わろうとした。
そこは革新的なのに、批判を恐れ曖昧にした。
制作人に勇気がない。
革新に振り切って、人形のまま終わる方が新しいメッセージで良かったのに。
結局、昔のままのセカンドレイプ作品で終わった。
人間になるために一生懸命努力して中々報われないピノキオって、出世しようと自己啓発沼にハマる大人と同じじゃないか?
自己啓発本を読破したり、セミナーに通う連中はピノキオだ。
成功しようと頑張るが、金だけ損して堕落に陥る。
しかしそれはセミナーや本が悪いのではなく、お前自身の努力が足りない、上昇志向が足りないと責め立てられる。
ダメ人間というロバになるぞと脅される。
特に素直な日本人は、自己啓発中毒に陥っている。
どこの会社にも、ピノキオは溢れている。
さあ、ロバの仮面を被って今こそセミナーに殴りこもう。
勿論、チェーンソーを持って。
今必要な教育物語は「ピノキオ」ではなく「チェンソーマン」だ!!