あなぐらむ

引裂れた処女のあなぐらむのレビュー・感想・評価

引裂れた処女(1968年製作の映画)
3.1
香取環追悼という事でNFAJで上映された葵映画ピンク(モノクロ映像が綺麗)。
「結婚」の二文字に騙された世間知らず女子が、ヤク中にされ娼婦に堕とされるプロットに特に新味は無いが、ピンク映画というよりヤクザ映画の体で中盤以降はモノクロの画が冴えて充分にフィルム・ノワール(これはフィルムだから良いんだろうな)。銃器協力に中田商店!(調べてください)

西原儀一の演出はパンチが効いていて、アメリカの夜(擬似夜景)を使った香取環の逃走シーンのエッジの鋭さは、後の国映・新東宝イズムみたいなのを感じた(因みに現新東宝の社名タイトルが出る時の曲って、葵映画が元なのね)。
ヤク中ゆえ中盤から台詞無しで、舞踏の様に体で感情を演じる香取環の凄みは息を呑む。盲目の娼婦にロマンポルノ前の白川和子(可愛い)。清水世津はピンク映画女優として活躍していたようだが、大蔵映画などは旧作が観れない状態。

関西にはまだプリントも残っているそうだが、何か機会があったらどんなもんか観てみて頂ければ幸い。