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スーパー戦闘 純烈ジャーのげのネタバレレビュー・内容・結末

スーパー戦闘 純烈ジャー(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ベスト・オブ・胡乱映画2021暫定トップの怪作。
ファンサを詰めに詰めて放出した感じ。

初っ端の必然性の無い純烈巨大演出から心を掴まれてしまった。
お風呂の女神・オフロディーテのネーミングセンスに脱帽し、スーパー銭湯機の悪ふざけとしか思えないデザイン、4人乗り軽なコックピットに笑い、思ったよりたっぷりあるアクションシーンに熱くなる。
小林幸子、前川清と歌謡界の重鎮も去ることながら、特撮出演キャストもやたら豪華。帰ってきた松本享恭に歓喜しつつ栄信の無駄遣いに泣き、企画からクレジットされている山本康平に信頼を寄せる。
ニチアサは当然として、Vシネクストでもなかなかないレベルの下ネタはこの作品独特の個性だと理解している。

胡散臭いポイントは枚挙に暇がない一方で最年少後上さんが先輩に導かれヒーローに目覚める成長物語的な縦軸が作品の強度となっている。
作品外でも純烈で唯一特撮出演歴のない後上さんと物語の設定が重なり、ただの楽屋ネタに留まらない現実とフィクションの差し引きの上手さがこの映画の要だと感じた。

ヒーロー経験メンバーの戦闘は特撮ファンへのサービス盛りだくさん。ゾルダ推しとしてはマグナギガたんから持ち替えたワルサーの渋いガンアクションが見れて嬉しい。やっぱりヒーローはどんなにお腹が出てても、皺が増えても戦闘モードになると一様にかっこいい。

クライマックスの巨大幸子戦は本当に訳が分からなくて、その割に信じられない量のナパームを景気よくぶっぱなしてくるやりたい放題戦闘シーンだった。それにしても小林幸子の圧倒的強キャラな歌声よ。

どう考えても愛すべきバカ映画なのだが、エンドロールで流れる「心のままに/純烈&前川清」で切なくなってきてしまうから始末が悪い。
NARASAKIさんの作曲とのことで納得した。
NARASAKIといえばオーケンがフロントマンを務めるバンド「特撮」の支柱である。
特撮のメタルでも、COALTAR OF THE DEEPERSのシューゲイザーでも、さよなら絶望先生の主題歌でも、NARASAKIサウンドにはどこか物悲しさ、切なさ、儚さを感じる。
そこに前川清、純烈の歌声が掛け合わさり、人情味あふれる暖かな楽曲となっていた。この曲がかかるからあんなにめちゃくちゃだったはずの映画の後味までしっとりと穏やかなものになるのだろう。

上映後、恐らく追い炊き鑑賞であろうご夫婦が満面の笑みで拍手をされていてほっこりした。
げ