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ミナは歩いてゆくのYuki2Invyのレビュー・感想・評価

ミナは歩いてゆく(2015年製作の映画)
4.0
引き続き、渋谷・ユーロスペースのイスラーム映画祭6エクステンデッドにて。まず、つくりもの感の無さというのが諸々非常に高度で(劇映画とは言え)実際に彼の地で起こっているとある出来事にしか見えない、という意味で、実に切迫した見応えが第一に感じ取れました。更に言えば、本作の数少ないポジティブなシーンであるミナが学校に通う場面なんかだって、本作当時からまた彼の地の状況が悪化した今ではこれもどーなっているのか分からない…という意味で、今観ると尚更に暗澹たる気持ちにさせられる映画だ、ともやはり思いますね。

とは言え、どーでしょうか。色々と極めてシビアな状況でありながらも、想像以上に逞しく力強く(時として狡猾に+容赦無く)生き抜いてゆくミナのヴァイタリティとゆうモノ自体は、ある面で非常にポジティブだとも思われます。『亀も空を飛ぶ』の主人公アグリンにも感じたコトですが今作のミナについても、映画の最後のシーンの顔付き・目付きにはパワーというか確固たる意志というか、ヒトのヒトたる素晴らしき「善き」モノの片鱗を垣間見ることが確かに可能だった、と率直に思うのですね(そのラストがまた、表面的には極めて悲惨なモノであったとしても)。

少なくとも私には、コレもただ悲惨な「現実」を描くだけの映画では決して無くて、ある種のヒューマニズムを明確に描き込んでいる作品だと感じられました。その観点からも、多くの人々にとって確実に(様々な)観る価値を提供してくれるだろう作品だ、と思います。機会があれば是非(万難を排してでも)。
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