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ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカットのYYamadaのレビュー・感想・評価

3.8
どちらが傑作?
【アナザー・バージョンの作品たち】

◆比較作品
・2017年『ジャスティス・リーグ』
     公開版 (120分)
・2021年『ジャスティス・リーグ:
     ザック・スナイダーカット』
     (242分)

◆オリジナルとの相違点
・公開版でジョス・ウェドンが追加撮影したシーンの全面カット
・7章だてのストーリー展開
・ジャスティスリーグの各キャラクターを掘り下げるシーンの大量追加
・真のラスボス「ダークサイド」登場シーンの追加
・マーシャンマン・ハンターや(過去の)グリーンランタンなどのキャラクター追加
・作品の色彩・背景・キャラクターコスチュームの変更
・IMAXシアター上映を想定して、(通常の1:43:1よりも正方形に近い)1.33:1のオープンマットで撮影。
・ジャレッド・レト演じる狂気のあのキャラクターの登場

〈見処〉
・『ジャスティス・リーグ: ザック・スナイダーカット』は、 2017年公開のスーパーヒーロー映画『ジャスティス・リーグ』のディレクターズ・カット版。アメリカでは、
ケーブルのHBO Maxにて、2021年3月に公開。日本では、日本では2021年5月26日にデジタル配信開始。

①製作背景
・本作はもともとザック・スナイダー監督により『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』に続く作品として、主要撮影を2016年12月に終えていたもの。
・しかしながら、ワーナー・ブラザース幹部にその内容が不満を持たれ、大規模な再撮影のため『アベンジャーズ』のジョス・ウェドンをハンティング。
・スナイダーはウェドンがリライトした脚本に沿って追加撮影を開始も、20歳になるスナイダー長女の自殺に伴い、途中降板。
・ワーナーはウェドンを後任監督に据え、「2時間以内に編集」「ライトな作風」「公開日の遵守」を厳命。ウェドンは、スナイダーの撮影済素材の約9割を採用せず、再撮影を敢行したが、キャストやスタッフの意見を受け入れないウェドンの高圧的な態度はパワハラ論争まで発展。
・紆余曲折にて完成した公開作は、DC映画最低の興行収入に終わる。ファンからは、ザック・スナイダーが残した撮影済素材による「スナイダー・カット」公開を求めるオンライン請願は、18万人以上の署名を集め、出演者のジェイソン・モモア、キアラン・ハインズ、レイ・フィッシャーらもその運動を支援。
・スナイダーは、ワーナー・ブラザース、HBO Max、DCの重役を自宅に招待し、幻のスナイダー・カットを鑑賞し、感動した幹部は製作決定を承認。スナイダーは2020年4月にキャストメンバーにその決定を通知し、7000万ドルの予算にて追加撮影、再編集を行った。

②結び…本作の見処は?
◎: 4時間にも及ぶ超大作となるが、キャラクターが丁寧に描かれた本作の体感上映時間は、前作と同じくらいに感じ、飽きることなく鑑賞出来る。
○: 本作でDCユニバース映画に本格参戦する、アクアマン、サイボーグ、フラッシュの3人のキャラクター醸成がしっかりと描かれ、ジャスティス・リーグに加わった行動原理が明確になった。
○: エピローグに登場するジャレッド・レト。正史として再登場して欲しいほど、強い印象を残す。
×: 尺は伸びたが、ストーリー展開はジョス・ウェドンによる公開版とさほど変わらず、あくまで「マニア向け」「配信サービス限定作品」の範疇を超えていない。

〈比較評価〉ドロー
作品質は公開版を上回りながらも、自分がワーナー幹部であったら、上映稼働の観点から、残念ながらウェドン版を採用するかな、と思う。

本作が4時間になったり、内容スカスカのウェドンのバージョンが上映されたのは、単に、新キャラ3人をジャスティスリーグに投入したため。二部作公開されるべき作品であった。
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