なお

ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカットのなおのレビュー・感想・評価

4.0
"補完完了"

2017年公開『ジャスティス・リーグ』に、多数のオリジナルカットに新規キャラクターを追加した、いわば「完全版」とも言うべき真のジャスティス・リーグ。

当初は2017年版もザック・スナイダーがメガホンを取っていたが、娘であるオータムの死により監督をジョス・ウェドンに引き継いでいた。
興行的には失敗に終わったジョス版ジャスティス・リーグ公開後、DCファンからはスナイダー・カット版公開を求める声が数多寄せられ、その数は18万人にも及んだという。

そんなファンからの熱烈な要望を受け、2021年に配信サービス限定にて本作の封切りと相成った。

✏️バリーとビクター
2017年版のレビューにて自分も批判した、敵味方含めての「ポッと出感」はかなり解消されている印象。
特に単体での映画作品が未だないフラッシュとサイボーグに関してはかなり救われている。
それぞれのバックボーン---主にバリーとビクターが抱える悲しき過去とトラウマについてしっかりと踏み込んだ描写が成されている。

戦闘・戦略面においても、ステッペンウルフ打倒のための重要な役割を果たしており、2017年版で漂っていた「寄せ集め感」は感じられなかった。

バリーとビクター以外のメンツに関しても、追加のオリジナルカットが多数あり、かついずれのシーンも物語上意味のあるカットとなっていて蛇足感はない。

本作のメインヴィラン、ステッペンウルフ。
2017年版では最大にして最凶のラスボスだったが、本作では自身よりも更に上位の存在と同僚らしき存在がいることが確認できる。

そんな彼の姿はまるで悪の組織における中間管理職のよう。

「地球侵略の進捗どうなってんの?」
「あ、今ちょうど2つの箱を集めたところでして~」

「なんでわざわざ俺のこと呼んだの?」
「実はいい知らせがありまして~」

なーんて、まるでショッカーの大首領に日本征服の進捗を基地で甲斐甲斐しく報告する改造怪人のようでちょっと好感が持ててしまった。

✏️アクション面
ヒーロー映画の醍醐味であるアクションシーンもより洗練されている印象。
わざわざ2017年版と見比べたりはしてないけど、迫力と臨場感が素人目に見ても増している気がする。

バットマンはチームのリーダー格として戦略面と後方支援的な役割も担う。
ワンダーウーマンはスピード感あふれる肉弾戦。
スーパーマンとアクアマンはパワフルなアクション。
前述の通り、フラッシュとサイボーグは敵を打倒するための重要なカギを握る。
それぞれの個性が引き立つ活躍っぷりは、ジャスティス・リーグが一つのチームであることを思い出させてくれる。

✏️上映時間
それにしても、やはり4時間という上映時間はなかなか堪えるものがある。
同じくヒーロー映画の超大作『アベンジャーズ/エンドゲーム』ですら3時間ちょうどであり、それより1時間も長い。
至極当たり前の話をするけど、本日のお昼過ぎから見始めて、見終わるころには日が傾き始めていたと考えると、やっぱり長い。

かつ、DCならではと言うべきか人物による語りのシーンが多く、睡魔と戦わなければならない時間帯もある。

よほどDC作品が好きか、自分のように夏休みの時間を持て余しているかでもしないと、なかなか鑑賞には踏み切れないハードルの高さは人によってはマイナスポイント。

幸い本作はエピローグも合わせると7つのチャプターで構成されているため、小分けにして見ればとりあえず1週間で見終わることはできる。
オススメはしないけど。

あと、なぜ画面のアスペクト比が4:3なのだろう?
迫力がウリのアクション映画なのに…

☑️まとめ
その他、2017年版には登場しなかった新キャラクターの参戦や、ステッペンウルフの上司・ユクサスの存在が発覚したことにより、今後のDCEUの世界に奥行きを持たせてくれた作品となった。

個人的にも、4時間という時間がそれなりにはあっという間に過ぎたため満足。

だが、ここ最近『バットガール』の公開中止が報道されたり、DC映画の展開の仕方が再編されるか?というニュースも飛び交い、何かと不安定な情勢のDCシリーズ。
果たして広げた大風呂敷を畳むことは可能なのだろうか…

🎬2022年鑑賞数:91(37)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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