えむ

パーフェクト・ケアのえむのレビュー・感想・評価

パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)
3.7
家族のケアが及んでいない資産のある老人を見つけては、法的に後見人として老人ホームに放り込み、その資産を吸い上げる、「ケアのプロ」の物語。

ストーリーは軽快に進むし、展開もサクサクしてて分かり易く、最後まで面白く観られる映画ではあります。
キレッキレの悪党ムービー。

が、日本で介護経験のある身としては、この法的システムから何から、ええ?って思う部分は多数あり。

まず、本人の判断がつかない要介護っていう診断書を勝手に医者が書き、法廷に持ち込んで、老人ホームに入れるのもそうだけど、入れる施設が値段の高いところっていうのも不自然すぎる。

日本じゃ申請しなきゃ要介護認定も出ないし、本人の希望がなかったらまず格安の無理のない施設が第一選択だよね。
援助が他に得られない困ってる老人に手を差し伸べる、を考えたら継続が無理な計画は普通立てない。

そもそも問題のカモ、ジェニファーおばあちゃんも、近親者もいなくて天涯孤独って調査結果鵜呑みにして手を出してるけど、貯蓄額が凄い時点で、普通に遺産相続先いないのに使わずに溜め込んでる不自然さに最初に気づけやって話。
溜め込む理由なんてないんだし、どこかに寄付したい善人ならとっくにしてるはず。

そんなわけで、マーサは頭良いようで、変にがっつきすぎだし、驕りすぎ、功を焦りすぎで見えてないなって感じがする。
自分の置かれてる状況が冷静に判断しきれてないから綻びが出るんだよ、と批判的な気持ちが湧いてしまう...。

悪党しか出てこないしどっちもどっち、こういうことを喜んじゃいけないんだろうけど、そこまで悪事観続けてるもんだから、最後はスカッとするよ。

しかしマーサが、やけに長年慣れ親しんだグレイズ・アナトミーのエレン・ポンピオ顔なもんだから、片や(マトモな)お医者さん、片や患者を食い物にする介護詐欺師で、なんかギャップに妙な感じしっぱなしだったー!笑
えむ

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