Yuki2Invy

汝は二十歳で死ぬのYuki2Invyのレビュー・感想・評価

汝は二十歳で死ぬ(2019年製作の映画)
4.0
渋谷・ユーロスペースのイスラーム映画祭6エクステンデッドにて。スーダンで製作された史上7作目の映画とのコト。上映前にスーダンの近年の政治状況と「スーフィズム」についての軽い講義があったケドも、確かにその辺をちょっと前提入れた上で観た方が確実に好いだろう作品ではありましたかね(特に、最近までスーダンは「イスラム主義」軍事独裁というちと珍しい政治状況にあった、という辺り)。

ただ、物語自体はワリとシンプルで分かり易いものだったかと思う。シャイフ(聖人)に二十歳で死ぬと予言された主人公・ムザンミルは、イスラムと現代社会の「価値観の衝突」の象徴である様に端的には思われるが、今作は比較的スムーズに彼の一種の「解放」というゴールに辿り着いて物語を終えてゆく。最近の映画で言えばそれこそ、観終わった感じは『フリー・ガイ』みたいなごくオーソドックスに爽やかなものであったかなあ、と。

しかし、ソコでひとつまた感じるのは、それは我々が「現代社会」の側に立っているからこそ、という様にも思えるというコトですかね。映画のつくり自体はその「価値観の衝突」について、コレも比較的「穏便に」描いている様にも思われるのだケド、一種ソレ自体がスーダンの社会状況の雰囲気そのものなのかなあ、とも思われるのですよ。そもそも、今作とゆーのは誰がどーいう人に向けてつくった映画なのでしょーかね?製作者(監督)さんとゆーのはおそらく多分に「進歩的」な方のかたなのかな、とも思うのですが、じゃあコレをスーダンの一般の人々が観たときに一体どーいう反応を示したのか、というソコが実は個人的にかなり気になったりしましたね。或いは、そもそも本作はそーではなくて「外」向けにつくられた映画なのかもなあ、と少しだけ思った…とゆーのが正直なトコロで。

とは言え本作が描き出す価値観そのものは、重ねて私は大いに共感可能だったというモノでしたし、ソレを描き出すという映画がスーダンでつくられた(=つくることが可能になった)という状況自体も非常に喜ばしい「変化」ではあるのかと思います。そしてやはり、存在自体が非常に貴重なスーダン映画でロケ地もスーダンというトコロのユニークな「観る価値」諸々とゆーのも、また極めて大きな作品だったかと。貴重な体験をさせて頂きました。
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