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14歳の栞のrのレビュー・感想・評価

14歳の栞(2021年製作の映画)
5.0
今まで見た映画の中でいちばん愛おしい映画だった。いわゆるクライマックスもオチもなくて、ただただひとりひとりにフォーカスを当てているだけだったけど、演技では決して再現できない唯一無二の作品だった。こんなにみんなの本音や素の日常を収められるのすごい。どうやって撮影したのか普通に気になる。たぶんこの子たち話したこと全部採用されると思ってないよね?素すぎて当人たちからしたらなんてものを世に出してくれてんだって感じだろうけど、でもやっぱり素だからこそ「14歳の人間たちとは」を表す、世に発信するひとつの作品として見るとかなり秀逸、と思った。

あの時のわたしも、あの時の同級生も、きっとみんないろいろ考えて、感じて、経験して、そういう過程の積み重ねで少しずつ世界の輪郭がハッキリしてきて、知らず知らずのうちに大人になってきたんだろうなぁ。わたしは自分のことを大人になったとはまったく思えないけど、それでも14歳の子たちを見ていたらわたしも大人になってしまったな〜と、なんとなく切なくなってしまった。大人も楽しいけど、あのキラキラした日常にはもう戻れないんだと思うと寂しくなる。中学時代は自分と自分を取り巻くその他大勢でしかなかったけど、あの時の同級生は何を考えていたんだろう、みんな頑張って一生懸命生きていたんだなって、ひとりひとりの人生がそこにあったことを思うとわたしの中学時代の思い出までもっとキラキラして感じられるようになった。みんな、それぞれがそれぞれのドラマを持ってる主人公なんだよな〜。主観でも客観でもなく、世の中の普遍的な事実として、誰もが等しく尊くて大切な存在なんだなって改めて思った。

最高にピュアで生意気で強がりで、でもそれが可愛くて愛おしくて、人生が可能性に満ち溢れてる。本当にキラキラしてた。大人から見た子どもたちって、こんなに未来を感じる生き物だったんだ。全員かわいい。愛おしい。本当に全員。どうか全員幸せでいてほしい。自分の人生を諦めず悲観せず、誇りを持って生きてほしい。私も学生時代言われたことあったけど、若さってまじで財産。若いってだけで価値がある。その時はそんなわけ〜って思ってたけど、本当にそうだと思えた。大人が口を揃えていうことってやっぱり真理をついてるんだよね。大人になってようやく気づくの、こういうのって。もっと早く気づきたかったよね。
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