ちーたら

14歳の栞のちーたらのレビュー・感想・評価

14歳の栞(2021年製作の映画)
4.3
3年の時を経てようやく鑑賞できた。
この作品を観た後、この3年で彼らも進学して各々違う道に進んでいると考えると感慨深いものがある。

映画を観る上で無意識に、主人公を始めとした誰かに視点を絞って、そのキャラに感情移入して、、というある意味穿った見方をしてしまう事が多いけど、この作品では全員が主人公で、全員が先を見据えてそれぞれの人生を歩んでいる。人生に希望を抱く者もいれば、若くして半ば諦めのような悟りを開いている者もいる。中学生といえど皆色々考えながら生活していて、それは人間関係のことだったり、学業だったり、部活のことだったり様々で、その迷いや矜恃がとてもリアルで見応えがあった。クラスメイトや家族が目にするかもしれないこの作品で、あそこまで赤裸々に語るのは本当に勇気がいることだったろうと思う。だからこそ14歳のリアルを収めたこの作品には意味があるし、ここまで多くの人間の魂を揺さぶる作品になったのだと思う。

人生は何か劇的が起こるわけでもなく、平凡な道のりかもしれないけど、それでも終わることなく続いていく。そんな人生でも、優しく栞を挟むように息抜きをすることで、自分自身と向き合い、立ち止まらず前に進むことができるのかもしれない、とふと思った。
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