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14歳の栞のseaのネタバレレビュー・内容・結末

14歳の栞(2021年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

感想をうまくまとめられないのだけど、本当に本当に良かった。この映画を作るにあたって、本当に様々な苦労があったと思うけど、制作に関わったすべての方々、出演してくれた2年6組の生徒さんたち、その保護者の方々、先生方に対して、本当に本当にありがとうという気持ちが溢れて止まらない。しばらくは恥ずかしかったり複雑な気持ちもあるかもしれないけれど、どうか2年6組全員が、この映画に出て良かったと思える日が来れば良いなと心から思うばかり。

大人になって忘れたくないことを聞かれて、アイスを食べているときと好きな人と連絡をとっているときと答える男の子、「今は部活に集中したいから、もう少し待って」とバレンタインにチョコをくれた女の子に言う男の子を観ただけで、涙が出てしまった。戻れない時間に対する切なさ、懐かしさ、ノンフィクションだからこその、作っていないわざとらしくない言葉がある。

自分も中学生の頃、ひねくれてみんなが好きなものを好きになりたくないと思っていたなとか、人を傷つけてしまったことを後悔していたなとか、早く大人になりたいと思っていたなとか、裏切られるのが怖くて見栄を張っていたなとか、35人全員の言葉の端々にあの頃の自分を感じた。私も人見知りでクラスに慣れるのに時間がかかったので、クラス替えをしたくないと話す男の子の言葉にも涙が出た。何も考えていないように見えて本当は考えているだとか、考えているのかもしれないけれど空回りしてしまっているだとか、みんなに優しいのは傷付いた過去があるからだとか、当たり前だけれど、学校の一面以外の姿や性格がみんなそれぞれにあって、そのことをあの頃の自分は気付けていたのだろうかと思った。

「こんな大人にはなりたくないってありますか?」「ダサい大人にはなりたくない」が刺さっている。私は今何をしているんだろうかと我に返ったりした。この頃の自分が今の私を見たときに、胸を張った生き方をできていないと思った。14歳の頃の自分が今の私を見たときに恥ずかしくない自分でありたい。

本当に人の数だけ人生がある、それだけのことに心を動かされる。全員の未来が必ず明るいとは限らない、難しい現実や叶わない夢も勿論ある。だけどあなたたちは可能性の塊で、何にだってなれる。先生に「信頼してくれてありがとう」と伝えた生徒、そう思えた生徒がいたこと、そんな生徒に力強く「信用してる、信頼してるよ」と答えた先生の姿に、ボロボロと泣いてしまった。教育現場はきっと一筋縄ではいかないことばかりだし、本当に大変なことばかりだと思うけれど、この映画を観ただけで涙してしまうのは浅いのかもしれないけれど、そういった苦労だったりその時期の子供たちの葛藤なんかを考えて、涙せずにはいられなかった。ひねくれていると涙ながらに話す姿もその時期特有の話し方や一人称さえも可愛く愛おしく思えて、それすらもすべて人生の一部なのだと、過去の自分を受け入れられた気がした。本当にありがとう。
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