ロメールの長編デビュー作。デビュー作には全てが出るという説もあるが、本作はロメール作品の中でもかなり特殊である。まず、中年期のマーロン・ブランドやジャック・ニコルソンのような(そこまでの風格はないにしても)熊みたいな男性が主人公であることからして特別な一編。
そんな風采のあがらない主人公がパリの街を歩き続けるショットは確かにロメールで、ある意味超チャーミング(?)な映画。でも観ている間は「実はフィルム・ノワール?」とか「いやいや、ネオレアリズモ?」とか思ったり、このままどうなってしまうのか分からないドキドキ感があったり、結構サスペンスフル。そして、普通におとぎ話みたいに終わる。