マ帆

PASSING -白い黒人-のマ帆のレビュー・感想・評価

PASSING -白い黒人-(2021年製作の映画)
3.8
パッシング=
混血の黒人が白人のフリをすること

白人として生き白人男性と結婚したクレア。黒人として生き黒人男性と結婚しているが街でたまにこっそりパッシングをしているアイリーン。再会する幼馴染2人。ここの気まずさマウント羨望色んなものが複雑に入り混じる2人の演技素晴らしかった。最高に居心地悪い。

そして自分より肌色が濃く黒人差別への意識も高い夫と比較的白い肌に生まれた恩恵に預かるクレアの間で、突如グレーゾーンに立たされ揺れるアイリーン。
物語はまさかの方向へ、、、え。。。

原作は黒人女性による1920年代の小説で、それを黒人として生まれ白人として死んだ=パッシングをしていた祖父を持つ白人(ゴジラVSコングなどで女優としても活躍するレベッカ・ホール)が映画化した、と知って驚いた。1920年代にこんな内容の作品を出せたこと、100年経った今それが映画化されたこと。そもそもパッシングなんて全く知らなかった。黒人の間でも肌色の濃淡によってジレンマがあるというのは知っていたけど、そんな行為があってそうまでしないとカフェにも入れないなんて。

そしてそんな濃淡を映し出すモノクロの映像。影や光の美しさはもちろん、本当に1920年代の女性を見てるようだった。絵のセンスがすごい。映画館のスクリーンで観たかった。

改めて人種差別の感覚ってわからない。
この映画を観てこれは自分が思っているより何倍も深くて複雑な闇なんだなと気付かされた。例えば自分は地黒なので肌が白い人に憧れるけど焼けた肌が好きな人も日本には沢山いて、でもそういうレベルではなく、白偉い!黒ダメ!排除!って認識を当たり前だと思い込み行動に起こす人間が存在することが理解できなすぎて怖い。。。
マ帆

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