真魚八重子

PASSING -白い黒人-の真魚八重子のレビュー・感想・評価

PASSING -白い黒人-(2021年製作の映画)
4.0
白黒で美しい映像。ハーレムの街の建物や街路樹がとても絵になる。特に雪景色が良い。窓からみぞれのようなもので、外が全然判然と見えないショットとか良かった。
つい最近も『マスター』で書いたけど、これもボリス・ヴィアンの『墓に唾をかけろ』と一緒で、白人のような見た目に生まれてきた黒人女性の物語。主人公のイレーネ役のテッサ・トンプソンは、白人として暮らすその友人クレアと再会し、白人の夫にも黒人であるのを隠していると聞いて驚く。
クレアは再会を喜んで頻繁に会いたがるが、イレーネはクレアの出自がバレてしまうことを心配する。だがクレアはハーレムの暮らしが懐かしく、イレーネが開催するチャリティーパーティーなどの花形になっていく。

どこか、クレアにはすでに捨て鉢なものが漂っている。加齢とともに黒人の特徴がかすかに表れてきて、夫にからかわれふざけて黒人の蔑称で呼ばれたりしている。その場に居合わせたイレーネは凍り付かずにいられない。それよりも、クレアは白人の暮らしを退屈に感じている。

女同士の微妙な感情の駆け引きもうまい。監督・脚本のレベッカ・ホールは、ジョエル・エドガートンの『ザ・ギフト』の主演だった女優さん。
真魚八重子

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