今から100年くらい前の1920年代のアメリカの物語。
通り抜ける、という意味の「パッシング」が有色人種が白人のふりをすることを指すをという意味のだと初めて知った。
多様性が叫ばれる昨今においても人種問題は未だに社会に根深い爪跡を残している、と色々考えさせられた。
少し後の時代を描いた映画、グリーンブックもそうだが、多民族国家のアメリカではあからさまに黒人差別が行われていたし、時代背景や地域差など様々な要素があったとしても第三者的にみて酷い話だなと純粋に思う。
白人と偽って今の生活を手に入れたクレアの苦悩と居心地の悪さ、アイリーンのクレアに対する嫉妬と冷めた眼差しがモノクロの美しさの中、対照的に際立っている。
モノクロであるが故、光の美しさや白黒はっきりしないグレーの部分、巧みな人物描写、想像力が掻き立てられる。
ニューヨークの街並、ジャズとクラシックの要素を含んだ音楽と当時のファッションも観てて楽しめた。