いろどり

暗殺・リトビネンコ事件(ケース)のいろどりのレビュー・感想・評価

3.7
「私の身に何かあった時はこのビデオを公表し世界に伝えてほしい」

エリツィン元大統領からプーチンへ政権交代した2000年。まだ若々しいプーチンは、"強い大統領"像を誇示するため、自作自演による爆破事件を仕掛け、第二次チェチェン戦争を正当化した。また、勢力を拡大したオリガルヒの一人の影響力拡大を恐れて暗殺指令を出す。ここで汚職と腐敗に耐えきれず内部告発したFSB職員リトビネンコ氏がイギリスに亡命して暗殺されるまでを追ったドキュメンタリー。

KGBの後継機関であるロシアの国家安全保障局FSB。要は諜報機関。トップはプーチン。

リトビネンコ氏暗殺について、国民の半分はFSBだと知っていて、半分は信じていないとか。

圧政の歴史として、ドストエフスキー、ゴーリキー、レーニン兄がいれられていた旧ソの反体制派の監房が出てきたりする。あんな狭いところに入れられていたんだ。



ナワリヌイ氏をはじめ、最近もロシアの石油会社の社長など声を上げる有力者が「何者かに」暗殺されたり、行方不明になるニュースを見ます。

民衆が声をあげたら危険なロシアの一握りの貴重な声。このような映画を撮っている監督の身が心配ですが、現在も亡命せず、圧力の中で社会派作品(映画は少なめ)を撮っているようですね。日本でも見られるようになると良いです。

今作は、権力者の暴走を許した大衆の無関心についても断罪しています。権力者は大衆の目を逸らした先で何をしているのか、興味を持ち監視しなければ権力は集中し暴走していきます。日本国民としても、耳が痛い指摘です。
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