takanoひねもすのたり

FUNNY BUNNYのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

FUNNY BUNNY(2021年製作の映画)
3.2
元は舞台なので台詞周りに演劇っぽさが残る感じ、図書館強盗編とラジオ局襲撃編のお話は2本仕立て

小説家志望で正義感が強い大学生・剣持聡(中川大志)と親友の漆原聡(岡山天音)は、閉館間際の図書館へ着ぐるみの兎の頭を被って襲撃する。残っていた女性司書と利用者の大学生を縛り上げたあと、ふたりは目的を果たすため『絶対に借りれない本』を探し始める。

図書館襲撃、真夜中の本探し、何故今日でなければならないのか真意を明かさない剣持、彼の真意を探りつつ付き合う漆原、本探しの理由を知り協力する司書と大学生の男女、それぞれの個性があり、かつ会話が小気味よいリズムの応酬で、観ていて飽きなかった図書館パート。

剣持や司書の女性の物言いは独特だし(舞台っぽい)言及される高校時代のある出来事と事件と拭えない後悔の重さは過去も現在も等分の比重を感じる
剣持が"あいつらを罰したい"気持ちは今も昔も変わってないわけだ
しかし"それ"を阻止しようとする漆原の行動と台詞が、これまた剣持と漆原のクソデカ感情が迸り腐女子属性持ちなら好きな人は多いと思う……私はかなり好きだ

「俺は女の子好きだし!今の彼女けっこう好きだし!だけど今、男つーか女みせなきゃだし!」
って奮いをかけての齧りつきのようなキスっすよwwww
下手くそかwwwww 
(キスは剣持の隙を取るための最終手段)
そして留めの「自転車で北海道は、俺で良ければ行ってやる」
何だ!もう!(ジタバタ)
個人的に岡山天音さん演じる感情が乏しい表情、減らず口だけは回るというひと癖ありそうな性格の漆原がハマっている、とても良い。

後半のラジオ局襲撃編は図書館から4年後の話で、メンバーのひとりを亡くし喪失感を抱え希死念慮を抱くあるバンドの元ボーカルの話で、これはそれぞれの熱量が高すぎてバランスが崩れた感

とはいえややくたびれた風情の作業ジャケにネクタイの男が、自分を強引に振り回し掻き乱す剣持を何だかんだ言い合いながら受け入れてゆく流れに、BLの始まりをみてしまい(始まらない)それはそれでおいしかった。

図書館パートだけだったらもう少しスコア高いかも、ラジオ局パートは要らんかったなあ。
それを展開するなら小説がベターだったかも