ぶみ

FUNNY BUNNYのぶみのレビュー・感想・評価

FUNNY BUNNY(2021年製作の映画)
3.0
2つの事件に隠された謎と、悲しい真実とは?

飯塚健による戯曲『FUNNY BUNNY -鳥獣と寂寞の空-』及び小説『FUNNY BUNNY』を、飯塚自ら監督、脚本、中川大志主演により映像化したドラマ。
図書館襲撃とラジオ局電波ジャックという2つの事件の顛末を描く。
原作の戯曲等については未鑑賞。
主人公となる自称小説家・剣持聡を中川、剣持の相棒となる漆原聡を岡山天音、図書館司書を関めぐみ、元バンドマンを落合モトキ、中華料理店の店主を角田晃広が演じているほか、森田想、ゆうたろう、田中俊介、菅原大吉等が登場。
物語の前半では、ウサギの着ぐるみによる図書館襲撃事件が発生、閉館後の深夜の図書館が舞台となるため、あまり動きはなく、ワンシチュエーションものの会話劇として展開、その行く末がどうなるのか見えない中、後半は、その四年後となり、ラジオ局電波ジャックという、これまた一見図書館襲撃とは全く関係ない事件が発生することとなるため、この二つの事件の関係性が、本作品の見どころの一つ。
ただ、原作が戯曲ということもあり、キャストが皆あたかも目の前に観客がいるような台詞回しをするため、少々クセ強めであると同時に、例えば中川演じる主人公・剣持は自殺志願者を見分けられる能力を持つという設定なのだが、そんな能力を持っているような説明が見当たらなかったため、台詞の多さとのアンバランスさが目についてしまったところ。
また、「痛快シニカルミステリー」との文字がキャッチコピーとして躍っているのだが、謎解き要素は殆どないので、流石にこれをミステリーと形容するのは無理があったかなと思う反面、後半の事件における終盤の展開が、なかなか激アツであったのは良かったポイント。
映画ではありながら、特に前半については舞台演劇を観ているような感覚に陥るため、そこが本作品を受け入れられるかどうかの分かれ目であるのだが、ワンシチュエーションものの会話劇が好きな私は、なかなか興味深い作風であったとともに、エンドロールのキャストの中に伊藤沙莉の文字があり、どこで登場したのか全く気づけなかったことが悔やまれた一作。

ピンチの時こそ、無駄話ができる男になれ。
ぶみ

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