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邪魔者は殺せのmat9215のレビュー・感想・評価

邪魔者は殺せ(1947年製作の映画)
2.0
これはいただけない。ロケーション撮影による夜の街は、ポジフィルムに銀塩がたっぷり乗った黒々とした映像が見事だけど、テンポが途中で失速する。だいたい、主人公にまったく感情移入できない。ジェームズ・メイソンの顔つきや声音がいかがわしいのは毎度のこととして、仲間の忠告を無視して襲撃に繰り出して仲間の足を引いただけでなく、その後の逃走中はほとんど譫妄状態で会話もろくにできない。また、途中で主人公に関わる人々の話は、逃走劇というよりは英国風コメディのようだ。
アイルランド独立運動を題材にした映画としてはジョン・フォードの『男の敵』を思い出す。もちろん、これの方が圧倒的に格上。映画監督としての資質もさることながら、アイルランドの血筋を引く者としての思いの深さが違うのだろうか。
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