このレビューはネタバレを含みます
折り紙とか、手紙とか、注射器とか、キスとか、セックスとか、そうやって実存を相互に確認して交換することがすべて。書き込み、書き込まれ続ける。
制度のなかで評価されたものは、折り紙も小テストも気がつけば何も書かれていない。その傍には、インクを超える重みが書き込まれた外からの手紙がある。
片想いの相手の恋人を「寝取る」主人公は行き違いで真剣なレズビアンだと受け取られる。しかし言葉を飲み込むことなく、そのように振る舞う。言葉が先行して、辻褄があとで合う様はさながら言語ゲームであり、実存は本質に先立つということそのものなのか。
“たとえ”嘘にまみれていても、積むその瞬間は本当だと信じることでしか生きていけない。