ゆう

ひらいてのゆうのレビュー・感想・評価

ひらいて(2021年製作の映画)
3.7
最初山田杏奈の独自から始まってそれが話し言葉か書き言葉か分からないまま、後に手紙とわかるのだけどスマホより手紙
手紙を渡すことの出来ない彼女は折り鶴を折るしかないという紙であっても二重の意味合いを出す最初のショットの一連は見事だと思いました。
古典的だと思いました。

しかし別のシーンでは、ドローンから学園祭で披露するダンスのカット割りがMV風で一体この映画はどうなってしまうのだろうかという
ましてやただならぬ関係が見て取れる関係というのを約10分程度で見せられるので表現がどうも定まるのかを注視してみたりしました。

手紙を奪い取るという、しかも絶対的距離感を身体を用いて詰めるというのは映画撮る人にとってはめちゃやりたいことで、現実はスマホや伝送データで身体性の延長線を飛び越えることしか、現代の話しの構造をなし得ず下手したら破錠しかねない

しかし敢えて山田杏奈を借りて挑戦しているのは好感を持ったし、山田杏奈の意思を持った眼差しは、彼女以外いないのではと思わす説得感も感じる。
その目をたとえと美雪だけが同じ言葉で形容しているというのは板谷由夏演じる母や、周りの仲間、教師ですら彼女の表面上の姿しか見ておらず、世界と瞳を介在出来るのはこの3者間なんだという事、劇中に出てくる自分たちの世界の中に〜 つまり半径10mくらいの関心しかもたないというこれまた古典的な表現。
だからそちらかというと私なんかは共感出来るのだけど今の世代はどうなのだろう

半径10mの関心理論なんてほぼ死語 21世紀初頭に言われ続けてきた話し。
要するにそういった世界を認めさせるだけの情動と話しを山田杏奈がしっかり受け止めて表現出来ているのが良いというのが結論。

ただし学校に侵入した時に窓から忍び込む時の緊張感というのが伝わってこないし(あそこのロングショットは高さを伝えたいのか山田杏奈らしき身体が実際に降り立つことの緊張感を見せたいのかその後のショットも)
また100分でいけたような気がする。

萩原聖人との対立する目が良い。
あれは心理を超えていた、がしかしその後の暴力のカットが頂けない。
(限界かな)

カメラが突然良かったり、悪かったりして
横移動も自転車疾走は悪くないけど、突発的に飛び出すこととくらいの情動表現しかないのがマイナス点かと。

素材は揃っているのにもったいないなと思いました。
あとから知ったのは照明が加藤君だった。
大学の同期でしてこれまた頑張ってくれているのは素晴らしい。
ゆう

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