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ひらいてのmisatoのレビュー・感想・評価

ひらいて(2021年製作の映画)
4.5
愛の愛情表現は暴力的だ。ただただあなたが欲しいから手段は選ばない。好きな人の前でも歪んだ部分もまるごと曝け出す。一方的に伝える愛は相手を容赦なく突き刺す。傷つけようが愛でぶん殴っていく痛いくらいに。

控えめな美雪、“たとえ”にとったらそんな愛はおかしくて怖いけど、強烈に自分の中を揺さぶっただろう。少なからず他の生徒と関わりをもたないふたりが愛とは対話するし、秘密を共有している。狂っているくらいに自分を求める存在がいることに救われることもある。開いているようで閉ざしていた三人が“ひらいた瞬間に、思わず鳥肌が立ってしまった。“嘘じゃない本心”が言葉になったことに救われた。

いろいろな文学作品を絡めて構成されているようなので、読み解けば読み解くほどに深みが増す作品だと思う。痛いなこの子で終わってしまってはもったいないです。そして年齢を重ねるにつれて、思春期特有の不安定さのようなものを理解するのが難しくなっていることに気がついてなんだか無性に寂しくなった。
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