reina

ラシーダのreinaのレビュー・感想・評価

ラシーダ(2002年製作の映画)
3.7
世界には想像を絶するほどの惨いことが存在する。それでも日々は止まることなく続いていく。

テロリストに誘拐された女性が公衆浴場で身体に付いた血を何度も何度も擦り落とそうとするシーンが忘れられない。テロリストにより尊厳を踏みにじられた彼女。彼女が命からがら村に戻ってきたとき、自身のヴェールを取って彼女に被せる村の女性達、大げさな励ましの言葉を掛けるのでもなく、そっと寄り添うその姿勢に涙が出そうになった。
レイプされた結果、望まぬ妊娠をしてしまう彼女。「中絶は罪(ハラーム)」とされる社会でその子どもの養子縁組を申し出る村の女性。誰の子どもであれ「子どもには罪はない」という考えを窺い知れる。ラシーダの教え子達がシャボン玉を吹くシーンからも「子どもは希望である」というメッセージが強く伝わってくる。

どんなに無惨な状況であっても希望の光はあると信じようとする、しなやかな強さを感じた一作。
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