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How It Ends(原題)のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

How It Ends(原題)(2021年製作の映画)
3.0
【現実が最悪な終わり方をしているなら虚構は...】
世界が日に日に終わりに近づきつつある。それも、よくあるディザスター映画のように強烈な一撃で世界は終わるのではなく、ヌルッと死が近づき、国が白旗をあげているような状態。まさしく、アベル・フェラーラ『4:44 地球最期の日』のような終末を迎えている。映画ももはや現実が虚構を超えてしまっている。では、そんな世界に対する正しいディザスター映画はなんだろうか?虚構で人々の心を癒す世界とはどういったものなのだろうか?新型コロナウイルスがまだ少しも分析されておらず国際的に大きく混乱していた2020年の夏に撮影された『How It Ends』は私に鎮痛剤としての虚構を魅せてくれました。

『How It Ends』は現実の混沌を知っている以上あまりにも楽観的すぎる。人々は、地球最期の日に思い思いのことをしている。ある者はだだっ広い空間でラジカセから流れる音楽に合わせて踊っている。ある者は謎の石に手を当てて、最期の占いに励んでいる。主人公は、地球最期の日だというのに呑気にむにゃむにゃしながら起床し、パンケーキを沢山むしゃむしゃと平らげる。通りには人気がいない。深刻なニュースも画面には登場しないのだ。

通常であれば、無法地帯と化し、失う物のない無敵の人が殺戮強奪するような世界になるであろう。しかしながら、本作はひたすらポジティブだ。『ブックスマート』のように主人公の二人組は最期の日を謳歌しようとする。夜の黙示録パーティに参加するため張り切っている。ただそれだけだ。

実際、本作は海外のレビューサイトで低評価が付けられている。確かに楽観的すぎる内容だし、地球最期の日としては虚無な日常を送っているだけだ。そこまで面白くはない。でも、今や地球が「憂鬱」によって滅びそうな状況において、希望ある終末を魅せてくれる本作は良き鎮痛剤として機能するだろう。私も、もし世界が終わるなら彼女のように人生を黄昏を楽しみ、静かに時が来るのを待ちたいなと思いました。
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