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モンタナの目撃者のSUのレビュー・感想・評価

モンタナの目撃者(2021年製作の映画)
3.5
エイダンギレン&ニコラスホルトの冷酷無比な暗殺者コンビが突き抜けた非情っぷりでわかりやすいそのヤバさと、山火事や落雷など日本ではあまり遭遇する機会がない自然災害的な未知のヤバさが同時にやってきて、サスペンスの相乗効果となって全編息つく間もない、緊張感漲る秀逸なサスペンス。
特に今カリフォルニアやギリシャなど世界各地で発生している大規模な山火事の、その凄まじさを知れ、その深刻さを改めて感じるタイムリーな作品でもある。

今回のテイラーシェリダンはウィズアウトリモース同様に、娯楽性とテンポ感に全振りしていて余計な説明などを削ぎ落としたシンプルなつくり。中弛みはないけれど、ウインドリバーにあったミステリー要素は本作にはなく、とにかくハラハラヒヤヒヤしながら、逃げろ〜!とか危ない〜!とかを心の中で叫びつづけてしまう100分。

十分面白いのだけれど、黒幕の扱いについて詰めが甘い気がするのと、山火事の中での追跡劇ではもう少し知識やウンチクを散りばめながら、地の利を活かす様なものが欲しかったところ。また、アンジーと子供、共に傷つき哀しみを背負ったもの同士の邂逅にはもう少し時間をかけてじっくりと説得力あるものにして欲しかったなあとか、細かい部分での不満点は多々あり。

ただ意外な人物の活躍が予想外で流石だったり、部分的にグッとくるシーンが何度かあったり、ど迫力の山火事シーンだったりと見所もたっぷり。
自然の脅威と、凄腕の強敵。果たしてどちらが恐ろしいか。スリリングを突き詰めたような作りはハリウッドでしか作り得ないクオリティである。
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