TaiRa

モンタナの目撃者のTaiRaのレビュー・感想・評価

モンタナの目撃者(2021年製作の映画)
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久々にアンジーがかっこいい映画観た気がする。

森林消防隊員の女が殺し屋に追われる子供を助ける、って筋から想定した構成より前段が長くて、それがしっかりテーマに沿ってて如何にもテイラー・シェリダンという語り口。会計士の父親が巨大な不正を前に自らの仕事を全うしたという前提が、この映画に通底するプロフェッショナリズムを予告している。それを踏まえて、すべき事を全う出来なかったと悔やむアンジーが対比。この映画では殺し屋にしても消防隊員にしても自らの仕事を全うする事を第一に置いて行動するので話が早い。善悪の対比というより立場の問題。シェリダンは基本的にはいつもこの形だと思う。悪役という役割がなく、全ての人間が仕事人。エイダン・ギレンとニコラス・ホルトが仕事の愚痴をこぼしながらテキパキと仕事をするのが親近感を覚えさせる。やってる事は非道な殺人でも。ボロボロになりながらもとにかく仕事を終えようとする様がプロっぽい。対するアンジーが単に土地勘のある消防隊員でしかなく戦闘能力はないというのもクライマックスでは丁度いいバランスに。サバイバルスクールを運営するメディナ・センゴアの意外な戦闘能力の高さに盛り上げポイントを全振りする構成も潔い。主人公が手を下さず「自然に任せる」という対応は『ウインド・リバー』と同じだった。ラストでベタベタし過ぎない演出もカッコ良かった。
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