個々の設定の紐づけが構成として雑で、調理の悪さにお金を払いたくない料理といった印象。
事件にフォーカスするなら解決まで描いて欲しいし、ヒロインの人柄にフォーカスするなら視点をあちこちフラフラしないで欲しい。
作品として一貫した作りをできていないので納得感が薄い。
逃走における緊迫感もなく、まず状況を掌握できない暗殺者があまり怖くない。仮にもそれを仕事としてきた連中が妊婦にスプレーで燃やされてしまうってのはどうだろうか。
舞台設定と逃走劇をうまく組み合わせることができていないのも気になった。
ヒロインはいわば自分の庭で戦っているのに、少しもその有利な条件を扱っているように見えない。仕事柄の技術も傷の処理にしか使われていない。またこの描写がずいぶん執拗に出てくるのでしつこい。
要所要所に入った引きの美しい絵をはじめとして、撮影技術は目を見張る物があり、役者さんもまた素晴らしい演技をしていた。
ただし力を入れるバランスが非常に悪く、脚本の練りがあまりに足りない。大袈裟なbgmも笑ってしまった。ウィンド・リバーのような作品を想像するとガッカリ。
