みてべいびー

カビリアの夜のみてべいびーのネタバレレビュー・内容・結末

カビリアの夜(1957年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

お初フェリーニ作品。なんだかすごい作品に出会ってしまった気がする。
物語の簡潔な概要みたいなの読んで勝手にハッピーエンドだと想像してたから、終了5分前にしてあの展開になったとき、え、めっちゃ救いのない話じゃんこれ、え、まじかそうゆう感じ?って一人ですごく悲しくなってしまったんだけど、ラスト90秒で気持ちが一転した。こんなことってあるんだ、たったこれだけでこんなに救われるのか、みたいな。人に何かを感じさせるのに、言葉って本当にいらないんだね。最後のGiulietta Masinaの表情だけですごく満たされた気持ちになるし、ついには第四の壁までさらっと壊してくる。感動、という言葉がふさわしいのかももはやわからない。でも何かジワッと胸に沁みて浸透していく。家も愛も信仰も何もかも失っても、人生は続いていくんだよね。カビリアの生きていこうという決意に背中を押される。そしてあの音楽が頭から離れない。
一般化するのはよくないけど、イタリア人て人生を謳歌するのが上手いんだろうなぁと思う。恋も喧嘩も本気で、何事も捨て身の覚悟なの尊敬する。カビリアほどの散々な経験をしたとして、私はそれでもまた人を信じたり愛する勇気を持てるんだろうか。そこまで人生に価値を見出せるだろうか。正直今は、人生の公平さとか幸せの絶対的な存在を盲信することはできないと思ってしまう。人生まだ始まったばかりなのにこんなこと言ってたら、これからカビリアの持つような純真さを取り戻すのは無理かなぁ。
「群衆の中には必ず理解者がいます、あなたの真価を知る人が」って言うセリフ素敵だと思ったのに、後でそれ言った奴がゲス詐欺師野郎であることが判明してしんどい。カビリアは結構邪険に扱ってるけど、冷静にワンダはめっちゃいい友達だと思う。好きなシーンはアッピア街道で客引きしながらマンボ踊るところと圧巻のラスト、あと宗教集会行ってその場の雰囲気に高揚しすぎて、松葉杖の人無理矢理立たせようとするところ。冒頭の川に落とされちゃうシーン観て🎥Sweet Charityみたいだと思ってたらこれが大元なんだね、知らないことだらけだ。
多分この映画の何がすごいって、ここまで奥さんを魅力的に撮れるフェリーニの手腕だと思う。表情がコロコロ変わる愛すべきキャラクター。もちろん彼女の実力あってこそなんだけど、それでもすごく彼の彼女への愛を感じた。また観たいな。
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