すずす

The Poor Little Rich Girl(原題)のすずすのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

人気絶頂、25歳のメアリー・ピックフォードが「金持ちだけど、孤独な少女」役を演じた、ターニングポイント的なサイレント映画。

子役としてブロードウェイの舞台に立っていたピックフォードは、DWグリフィスに見いだされ映画デビュー。瞬く間にスターとなり、1917年の自らのヒット舞台『A Good Little Devil』の映画版(最初の長編映画)、『小公女』などで活躍し、大統領より稼ぐ子役となる。

本映画はピックフォード自身と脚本家がイメージを造形して作られた映画で、単なるドタバタではない子供の純粋さが描かれています。

金持ちの少女、グウェンドリン(ピックフォード)は裕福ですが、意地悪な侍女、召使、家庭教師に囲まれ、学校にも行かず、豪邸から出る事も出来ずに過ごしています。生意気で、悪戯好きですが、どこか孤独です。
父親は投資家で忙しく、母親は社交界にしか興味がありません。グウェンドリンは誘拐されないように幽閉されて暮らしているのです。
母の友人が連れてきた少女とは大喧嘩となり、可愛い女性服ではなく、男の用の服を着せられます。誕生日のパーティなのに、両親は本人抜きで、社交に忙しく、使用人は、睡眠薬を誤って、大量に服用させ、彼女は昏睡状態となり、夢を見ます。怖い蟯虫やロバと遊びまわる夢を見ながら、彼女に死が迫り、両親は後悔します。

大人になって消えていった、子供の頃のぼんやりとした記憶、それを思い起こさせてくれる愉しい映画です。生意気な少女のいたずら、ドロ投げ、洗面所を壊して水をまき散らしたりも、子役として忙しく過ごしたピックフォード自身の憧れとして具現化されたもので、ドタバタの中に、孤独感が浮き出ています。
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