豚肉丸

偶然と想像の豚肉丸のレビュー・感想・評価

偶然と想像(2021年製作の映画)
4.8
偶然と魔法に関する三話の短編集

約2年ぐらい前に初めて見た濱口竜介作品だったが、その時は1話目と2話目の変なコメディに引っ張られて3話目が地味に感じてしまったが、濱口竜介作品をある程度見た上で見返したら3話目の意図が理解出来て滅茶苦茶衝撃受けたし滅茶苦茶面白かった。

『天国はまだ遠い』に代表される「他者を演じること」のユーモラスな部分にフォーカスを当てながらも、「演じる」ことによって心と心が繋がり合う流れを描いているのが本当に凄い。前2話で他者の心に踏み込む気まずさ、会話が引き起こす魔法についてを描いた後に、これらの要素を「演じる」ことで昇華する物語を描いて終わらせるのが凄すぎる。
カメラのズームによって魔法を表現するのも面白い。全編通してカメラが殆ど動かないからこそズームの効果が暴力的に映り、印象に残る演出となっている。

1話40分とコンパクトに見返しやすいので今後も定期的に見返してみたい。面白かった!
豚肉丸

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