2022映画はじめに選んだ本作。
見終わったあとの幸福感は瞬時に薄れ、なぜかどうにも悲しくなってしまい混乱している。
まぁいいや。混乱してるまま書く。
“偶然と想像”をテーマにした短編3作からなるオムニバスの会話劇。
閉じた空間の中に放り込まれた演者たちが、呼吸を合わせるように感情をのせずに一定のリズムでセリフを話す。
滑稽に思えたり薄ら寒くなったりもするが、そのリズムに慣れると急に自分の中の価値観や常識と混じり合う瞬間がやってくる。
そのあとは感情が映画に溶けてグネグネ粘土あそびするような感覚だ。
濱口監督作品はやはり演劇に近い体験型。
ドライブ・マイ・カーで言語を手放したかと思いきや、本作では言葉の持つ力を心底信じているのだな、と思わされる。
こんなに甘くて苦い“茶番劇”なら、わたしも味わってみたい。