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偶然と想像のsoのレビュー・感想・評価

偶然と想像(2021年製作の映画)
3.5
邦画でドビュッシーやサティが流れると、日本の風景や人から音楽が浮いてしまっているのに、無理やりにその音楽の美しさに映画を落とし込もうとしてるようで幻滅することがよくある。「ハッピーアワー」で流れるバッハにもあまり良い印象を抱かなかった。
だからこそ本作で、タクシーがトンネルへと向かうなか、歩道橋の上で二人がそれぞれの方向へ歩いていくなか、シューマンのピアノがとても自然に流れていたことがとても印象深かった。
「どや!」ではなく、もっともっと日常に間近い距離で鳴っているようなピアノ。登場する人物それぞれの世界のBGMとして静かに流れているような音楽。それがとても良かった。

特に3話目「もう一度」が良くて、
あ、自分はこういう邦画が観たかったのだなぁ
と、なんだか観終わって清々しい気持ちになっていた。

変な言い方だけどこの映画は、たとえばテレビで22時台に5分ずつ毎日やってても好きになったと思う。
そういう映画らしくない気負いのなさが魅力的だった。
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