Saison

偶然と想像のSaisonのレビュー・感想・評価

偶然と想像(2021年製作の映画)
5.0
映画を見てて記号論のことを言っているように思えた。(そんなに詳しくはないけれど)
要するに話し言葉として聞こえてくる音そのものとそれが意味するものが必ずしも話し手と聞き手で一致することはないということ。

一話目の「本当に好き」という言葉は言うことはできてもそれが本心を言っているとはかぎらないというような表面上の言葉が飛び交っている印象を受けた。
二話目では教授が小説を書くときには浮かんできた言葉を思うがままに並べていく?と言うようなことを言っている。小説は個人の感情や思いを綴るのではなく、文字としての連なりによって読者を感動させられるかどうかというような書いていることと個人の感情を切り分けが起きている。
三話目では記号の対象が人物にまで及んでおり、高校時代の友人に似ている?という視覚的な情報と事実のずれによってコントのような話が進んでいく。またお互いに仮想の同級生を前に自分の思いを言っているが聞き手は話し手の「言葉」をそのまま受け取らずに自分の立場に置き換えて聞いている。(この内容は2話でも見られた。)

このように1話目では「話し言葉」、2話目では「文字」、3話目では「見た目」をテーマにして自分が見ているもの、聞いているものと実際にそれを受け取るときに起きる齟齬を描いているように思えた。
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