針

偶然と想像の針のレビュー・感想・評価

偶然と想像(2021年製作の映画)
4.1
濱口竜介監督による短編3本をまとめたオムニバス映画。かなり面白かったです。
先に題名をあげとくと、第一話が「魔法(よりもっと不確か)」、第二話が「扉は開けたままで」、第三話は「もう一度」。

いずれも2~3人の登場人物が、とある偶然をきっかけに変わった内容の会話を繰り広げるという会話劇です。かなりミニマルな作品群で、基本的にはセリフと展開だけでこちらの興味を最後まで引っ張ってく感じ。つまり脚本がすごく面白い。編集のリズムとかももちろんあるんだろうけど、劇的な技巧はここぞというところのみに絞って使ってる感じ。ドラマ作りの腕だけで勝負してる作品という印象でしたが自分は見事に引っ張り込まれました。すごくいいと思います!

役者の方々は場面によってセリフが非常にカタく感じるところもあったんだけど、この映画ってなんか全体的に小津的なものを感じる部分がなくもなくて、どこまで意図的に演出された話し方なのか自分は結局判断がつきませんでした。明確に分かるところもあったけど。(wikiによるとこの手の平板な話し方の演出はジャン・ルノワール由来らしいです。ほんとか知らんけど。ブレッソンとかも近い気がする。)
あとはユーモラスなシーンが多いところもまぁ好み。

ストーリーの転がし方も見どころなので、できれば内容はほとんど知らずに観るのがベストなのかなーと思う。ちなみに自分は第二話の「扉~」が一番好きでした。

もったいないので内容の感想はコメントに付けておきます。おすすめ。
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