オクターヴ

偶然と想像のオクターヴのレビュー・感想・評価

偶然と想像(2021年製作の映画)
4.4
まず1話目、やはり移動中の車内の後部座席は最高だよね。決まって街灯がともる夜がいい。その瞳が涙でキラキラするだけで、もうその会話劇にオチは必要なく、なんとなく我々はその先のドラマを想像しつつも彼女の豊かな表情に微笑みを浮かべればいいだけなのだ。で、中島歩が抜群にいい。かっこいいだけじゃなくて姿勢もいいし、ツッコミの間とかタイミングとか声のトーンとかも絶妙なのよ。スクリーンと観客席がつながるライブ感もある。濱口竜介監督マジックだよと言われればそうなんだけど、それだけで説明できるものじゃない。2話目は、正直なところ研究室のシーンはあんまり乗れず、なんとなくだけど教授がもうちょい堅物な方が良かった。だから、むしろバスのところが好きかな。やっぱり夜の移動中の車内になると濱口竜介監督マジックが起きるんだよな。他の何よりもあのバスが一番エロ〜って思ったもん。3話目ね。これどういう展開になるのかまったく読めないところがスリリングだよね。この映画は3話ともに複数のお客さんから笑いが起こったんだけど、緊張と緩和の連続なのよ。あとライブ感があるんだよね。だからかな、3話目のラストシーンは泣いちゃうよね。