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対峙のyksijokiのレビュー・感想・評価

対峙(2021年製作の映画)
4.2
子供による銃乱射事件の遺された被害者家族と加害者家族の対話という激重テーマ。密室ドキュメンタリー風フィクションかつ演劇のような会話劇に引き込まれる。極めて宗教的な概念としての赦しとお互いの心の中の葛藤が形容しがたいやるせなさにつながっていく。


親として至らぬ点はなかったのか、兆候はなかったのかと迫る被害者家族たちと子を愛していた、信じていたと話す加害者家族たち。交わることのなかった家族同士が遺された遺族として関係を持ち、その時何があったのか、何がそうさせたのかを振り返らないといけない。そのシチュエーションが結構しんどい。会話劇がほぼの中での4人の演技が極めて自然で、かつそれぞれが当たり前のように全員不完全でありそこがチラッと見えるたびにお互いがイラッとしたり失望したりする様が非常に良くできてていたたまれない気持ちにさせられた。

終盤にかけての畳みかけ方と、想定してなかった部外者の伏線の活かし方は素晴らしすぎた。過去に蹴りをつけるというのは無理な話で、さらにお互いに当人ではなくその家族という点が非常に難しい。その中で非常にキリスト的な赦すという行為をどう捉えるのか、どういう結末になっていくのかというのはとても興味深かった。全部理解できているわけではないものの、ある種の消化をお互いにするということによるお互いの今後の人生というものとの関係性の線引きみたいなものはあるのかなぁとは思ったり。

冒頭のなんとも言えない張り詰めた空気感とラストとの対比が非常に良くできていてこちらも緊張と緩和でめちゃくちゃ泣いてしまった。面白かった。

キャスト★4.2/5.0
ストーリー★4.0/5.0
プロット★4.4/5.0
バイブス★4.3/5.0
演出★4.5/5.0
音楽★3.5/5.0
映像★4.1/5.0
全体★4.2/5.0
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