故ラチェットスタンク

対峙の故ラチェットスタンクのレビュー・感想・評価

対峙(2021年製作の映画)
4.2
『フェイブルマンズ』で地平線は上か下だと教えられた直後にこの映画を見たのですが、滅茶苦茶地平線が真ん中にあって、しかもちゃんと良い画になっていて混乱しました。やっぱシネスコとか画角によって変わるもんだから鵜呑みにするのも良くなかったなと思うなど。

視線の交錯、人物の位置取り、移動、身振り手振り、会話の応酬が全て意味を持ちつつ駆動していて素晴らしかったです。緩急はあれど、無駄な絵が一枚もない。オチは月並みというか始めから決まっているんですが、やはりどう行き着くかというか、大事なのは道程ですよね、と当たり前のことを再確認。社会と自分たちを一旦空間的に切り離して時間をかけて考えていくことの必要性を示す作品として良かったです。最後の方ちょっと長いですが、それもまた味わい深い。対峙して話すってそういうものでしょう。