アメリカの高校で起きた銃乱射事件の加害者の両親と被害者の両親が、とある教会の一室で対話する。その一部始終を描く。
張り詰める緊張の中、対話が進むにつれ、二組の距離感や感情が揺れる。
座り位置の変化や揺れる画面、加害者夫婦から被害者夫婦に贈られる花、最初は傍に置かれたティッシュボックスなど、印象に残る。
また、それぞれの夫婦間でもいろいろあるんだろうなと思わせる視線のやり取り。描かれていない6年間を想像して心が張り裂けそうになる。
どちらかが上位に立つための話合いではなかった。加害者と被害者という立場の違いがあるにも関わらず、対等に向き合っている。子どもを亡くした悲しみ、抱える罪悪感、怒り…大きな感情を乗り越えて、これからも生きていかなければならないニ組の夫婦を真摯に描いた作品だった。
