NEWおっさん

99.9-刑事専門弁護士‐ THE MOVIEのNEWおっさんのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

「事実を追求するのは善か悪か」

2016年と18年に放送されたドラマの劇場版。タイトルの99.9とは刑事事件の有罪率。ということは僅か0.1%の確率で無罪を勝ち取れてない。ドラマ版は見てなくて映画からいきなり見たんだが、なんとなく話はついていけたので問題なし。でもやっぱりドラマ見てたほうが楽しめるのは確かなようだった。

刑事事件という重い題材を扱ってる割には軽いノリなのが全編気になった。主人公のトコトン事実のみを追求するキャラってのは良いんだが、なんか推理だけで自分は体を張ってないのが気になったわ。それでいて失礼な態度連発というか。事件の再現とかも劇団員まで雇ってあんな大々的にやることなのか? とは思った。てか事件の再現て普通推理するヤツがやるだろ。

それ以上にヒロインの杉咲花演じる河野穂乃果がウザ過ぎる。先輩を先輩とも思ってない態度、所々漫画の台詞や英語を発する場面が見てて激滑りしている。なんかドラマ版では榮倉奈々とか木村文乃がヒロインだったらしいがなんでわざわざこんなウザキャラに換えたんだ。んでそんなノリの割には事件の真実がめちゃめちゃ重くて混乱するわ。

混乱するわ、と書いたけど、正直事件の真相には泣いた。これはちょっと他に類を見ない真相だった。ここはネタバレで語ります。

事件の内容としては素晴らしい反面、この独特のノリはちょっとイマイチだった。結果泣いたわけで見て良かった部類には入るんだがなあ。あと場面としては少ないが裁判官の苦悩ってのがこの作品には描写されてるのが良かった。逆転裁判でのほほんと判決言い渡してる立場で慣れてるせいか、本来の裁判官ってのはこうなんだよなってのを改めて再認識させられたというか。

--------ここからネタバレ--------





















子供達が犯人だったとは。しかも本人すら気付いていない犯人という。これはキツい。子供達の将来の為ってのが、山本が世間に死刑囚として認識された後の娘のエリの立場と対比してるのが上手いわ。

なんかこの顛末には考えさせられた。勿論罪のない人間に罪を被せた村の人達は許されるわけではないが、子供たちの立場を考えると気持ちも分からんでもないし、反対に南雲の怒りも痛いほど分かる。残酷な結末ながらも当の子供達には救いがありそうな感じで終わるのが良かったな。

事実を追求することが必ずしも良いことになるとは限らない、ってのはこういう探偵や刑事モノでは使い古された言葉ではあるが、この事件にはこの言葉こそが相応しいと思った。